製造現場では、人手不足や働き方の変化などの課題がある一方、生産性向上のための情報通信技術の利活用が進んでいる。機器状態監視、製品検査、工程管理、環境センシング、機器制御など多様な用途で無線システムが導入される事例が増えており、今後も更に増加するものと予想される。
しかし、製造現場では無線通信の不安定性への懸念がある。様々なアプリケーションが免許不要周波数帯の無線規格を用いて独立に運用され、無線区間での干渉問題が生じ、アプリケーションが必要とする通信品質が満足されず正常に動作しないという問題が起こり始めているためだ。
こうした懸念を解消するため、国立研究開発法人情報通信研究機構(以下、NICT)が機能とその間の情報のやり取りを定義した基本構成として、多種多様な無線機器や設備を繋ぎ、安定に動作させるためのシステム構成であるSRF無線プラットフォームを提案した。
さらに、NICTとSRF無線プラットフォームに高い関心を持つ企業は2017年にフレキシブルファクトリパートナーアライアンス(以下、FFPA)を設立し、SRF無線プラットフォームを具体化し、社会実装していくために無線通信規格の技術仕様を策定してきた。
このほど、FFPAは、NICTが提案したSRF無線プラットフォームを製品に適用可能にするために、必要な機能、機能間のインターフェースの明確化を行った新たな通信規格の技術仕様を策定した。同技術仕様では、SRF無線プラットフォームの機能、インターフェースを規定し、製造現場に混在している多様な世代、規格、メーカーの無線システムが共存及び協調できる。
SRF無線プラットフォームでは、フィールドマネージャがゲートウェイや無線端末から構成される複数の無線システムを管理・協調制御する。その際、以下のことにより、多様な無線通信を安定かつ効率的に運用することが可能となる(グローバル制御)。
- 各無線システムにポリシーを与えることにより、無線資源(周波数、時間、空間)を配分すること
- 無線通信とアプリケーションを意識した管理を行うこと
- 無線通信環境の監視を行うこと
また、無線通信環境が局所的に急激に変化することに対応するため、単一システムでの自律的な制御を可能にしている(ローカル制御)。同プラットフォームを適用することで、安定した無線通信を利用することが可能となり、製造現場の様々な情報の可視化と統合管理を実現することができる。

今後テスト仕様の策定を進め、2020年中ごろを目途に認証プログラムを開始する予定だ。
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