エコシステムという言葉をよく耳にするようになった。
「Appleのエコシステム」のように企業名とともに登場したり、「IoTのエコシステム」のような概念的に使われたりしている。
本記事では、IoTにおけるエコシステムとは何かを紹介する。
エコシステムとは
エコシステムとは、元々は生態系を表す英単語「ecosystem」が由来になっており、主にITやエレクトロニクス産業界において、業界全体の収益構造を表す単語となっている。
ひとつの企業のビジネスモデルではなく、業界全体がどのように収益を上げていくかを、食物連鎖や物質循環のような生物学の生態系になぞらえて、エコシステムと呼んでいる。
取り巻く環境の変化や、新たなテクノロジーを持つ競合企業に対し、全て自前で対応するのではなく、多様な強みを持つ、業種や業界を越えた企業が集まり、1つの形にするというアプローチが求められている。
IoTにおけるエコシステム
IoTという視点で、このエコシステムという言葉を考えてみる。
様々なデータを取得し分析することで、新たなアイディアやビジネスモデルを生み出す時に、その全てを自社で実施することは大きな労力と投資が伴う。
既存のサービスやデバイスを用いることで、アイディアやビジネスモデルの創出に力を注ぐことができる。
特に、セキュリティなどの専門知識が必要となる領域は、その専門の企業が提供するサービスを利用するのが現実的ではないだろうか。
IoTのエコシステムにおいて重要なのは、デバイスやサービスよりも、デバイスによって取得されたデータだ。
データを生み出す企業、収集する企業、分析する企業のそれぞれがデータを通じてエコシステムを形成する。
データの品質が高かったり、分析する精度が高かったりする企業が、エコシステムの中で強い立場を持つだろう。
IoTの更なる普及に伴い、データ取得や分析の高度化が進み、複雑で高機能なエコシステムが構築されるのではないか。
IoTにおけるエコシステムの事例
プラットフォームを提供しエコシステムを構築する
[参考記事]
WISE-PaaSで実現する、データ活用エコシステム ―アドバンテック・マイク小池氏インタビュー
アドバンテックのWISE-PaaSは、データ活用のための様々な機能をクラウド上のPaaSとして提供している。
「インダストリアルAIoTソリューション」という形で、パートナーと一緒にAIの具体的なソリューションを作り上ることができるプラットフォームになっている。
データエコシステムの基盤構築
[参考記事]
IoT競争の焦点は「データエコシステム/Data as a Service」 ―IDC Japan 鳥巣氏 講演
IDC Japanの調査によると、2025年には、世界中に存在するIoTデバイスの数は820億個に増え、それに応じて生成するデータ量が163兆ギガバイト(GB)まで増大するそうだ。
生成するデータには「IoTデータ」と「非IoTデータ」の2種類があり、非IoTデータが占める割合がずっと大きいという。
非IoTデータを保有し、マネタイズに成功しているのがAmazonやGoogle、Facebook、Alibaba、TencentといったIT企業である。
データエコシステムを構築する事で、IoTデータだけでなく、非IoTデータも蓄積し、適切に組み合わせ、デジタルビジネスをつくっていくことができるのではないかとした。
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大学卒業後、メーカーに勤務。生産技術職として新規ラインの立ち上げや、工場内のカイゼン業務に携わる。2019年7月に入社し、製造業を中心としたIoTの可能性について探求中。