5Gは、4Gと比較して10倍以上高い周波数帯であるミリ波をはじめ幅広い周波数帯が利用され、高速・大容量・低遅延・多数接続などの特徴を活かしたサービスが期待されている。
しかしミリ波の性質上、壁や設置物による遮蔽や干渉などにより通信品質が低下しやすくなるため、多数の基地局を設置し通信品質を確保する必要がある。
日本電気株式会社(以下、NEC)は、5Gミリ波基地局の無線子局において、分散アンテナ技術を開発した。
分散アンテナ技術とは、分散アンテナユニットを高密度に配置し、それぞれを結合することで基地局を柔軟に構成することができる技術だ。伝搬状況に応じて最適な基地局構成を選択できる。
この技術により、伝搬路の遮蔽や回折などを解決できる。
また、分散配置したアンテナとコントロールユニットの接続に、複数の信号をひとつにまとめる周波数多重機を用いることで、アンテナコントロールユニット間を高周波ケーブルや光ケーブルで接続する場合に懸念される、減衰・同期・電源供給などの課題を解決するとともに、アンテナの設置容易性を実現する。
NECは同技術の有効性を検証するため、NEC玉川事業場の実験室で実証実験を行った。
実験用に構築したシステムは、8か所に分散設置したアンテナ、アンテナを制御するコントロールユニット、それらを制御するベースバンド処理装置などで構成されている。
実験では、NECが従来からサブ6GHz帯およびミリ波帯で開発してきたデジタルビームフォーミングを28GHz帯のアンテナにも適用し、電波の空間合成と多重化を行うことで、高速・大容量通信に加え、伝搬路の安定化も実現した。
また壁や設置物による遮蔽、反射波による干渉などの厳しい伝搬環境や、複数端末が近接した環境でも安定した通信を実現したという。
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大学卒業後、メーカーに勤務。生産技術職として新規ラインの立ち上げや、工場内のカイゼン業務に携わる。2019年7月に入社し、製造業を中心としたIoTの可能性について探求中。