5Gが本格的に普及する時期には、超高速・大容量、超低遅延、超多接続という3つの特徴に対して、用途に応じたネットワークを構築して提供する必要がある。
従来の技術では、新たに超低遅延や超高速・大容量通信のサービスを展開する場合、それぞれのサービスに適したスライスを提供するには、サービス毎に無線装置を用意する必要があった。
今回、株式会社KDDI総合研究所は、基地局ネットワーク(以下、RAN)を制御するRANコントローラの機能を拡張した新たなRANスライシング技術を開発し、アンテナサイトに設置する1つの無線装置に、5Gで想定される複数のサービスを収容する技術を開発した。
同技術を用いることで、1つの無線装置に複数の無線信号処理部を接続できるため、時間がかかる新規無線設備の建設を待たずに新たなサービスを導入できるという。
また、イベント等の時限サービスの場合、従来技術では他のサービスと基地局を共有することになり、通信要求が過多になった時には、他の通信の影響を受けて通信品質が劣化する可能性があった。
これに対して、同技術であれば、イベント開催期間だけ専用のスライスを構築することが可能であるため、臨時でも安定した通信を提供することが可能になる。
実証デモでは、一つの無線装置から超低遅延スライスとインターネットに向けて同時に配信できることを確認した。これにより、大規模イベント会場で来場者向けにリアルタイム映像を配信しながら、同じ映像をインターネット経由でも配信するようなサービスを提供出来るようになったという。
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大学卒業後、メーカーに勤務。生産技術職として新規ラインの立ち上げや、工場内のカイゼン業務に携わる。2019年7月に入社し、製造業を中心としたIoTの可能性について探求中。