2020年2月9日~12日に米国テネシー州ナッシュビルにてダッソー・システムズの3DCADであるSOLIDWORKSのユーザーイベント「3DEXPERIENCE World 2020」が開催された。
本記事では、SOLIDWORKSのブランドCEOであるジャン・パオロ・バッシ氏(トップ画像)が2月10日のゼネラルセッションに登壇した際の講演内容に関して紹介する。
科学、芸術、テクノロジーの交差点

バッシ氏は、「今日、新たなアイディアや夢、優先順位の高いものがたくさん起きている。そしてそれは科学、芸術、テクノロジーの交差点で起こっている。」と語った。
それは我々が単なる機能性だけではなく、真に人間として体験を豊かにするものを求めているからだ。技術やイノベーションの進化によって、新たなチャンスやより大きな夢を実現する機会がある。そのチャンスや夢を実現するためには、「3DEXPERIENCE World 2020」に集まったユーザーそれぞれが単純な設計以上のことをやりたいと考えているだろう。
発明するものと現実の繋がりが全員にとって非常に重要で、この繋がりを見ることが大切だとした。
3DEXPERIENCE WORKS

バッシ氏は、ダッソー・システムズのアプリケーションである、「SIMULIA」「ENOVIA」「DELMIAWORKS」「CATIA」からパワフルなアプリケーションを導入をして、「3DEXPERIENCE WORKS」というプラットフォームの中でポートフォリオを拡大していくとした。
これにより、設計やシミュレーション、製造、マネジメントなどの様々なプロセスに良い影響を与える。

現在、10個以上のアプリケーションがプラットフォーム上に載っている。アプリケーションはロールと呼ばれるもので定義される。ロールとは、ユーザーが普段行っている職務を表すようなものだ。自分の仕事は何かというところから必要なツールが見つかるというやり方だ。
例えば、3D Createrというロールであれば、xDesign、3DSculptorというロールであれば、xShapeというアプリケーションが格納されている。
このような形にしたのは、ユーザーに必要なものだけ使ってほしい、使ったものにだけに支払いをしてほしいという考えからだそうだ。
お金と時間を自由に

これまで、イノベーションによって効率化が進むとお金と時間が自由になってきた。その分、何かを考えたり発見したり探索したりするための時間が生まれ、そこに投資ができるようになったという。それは3DEXPERIENCE WORKSでも同様だ。
では3DEXPERIENCE WORKSはどうやってお金と時間を自由にするのか?このプラットフォーム上では、誰もが、全てのものが、つながるという。そうすると、それぞれの業務プロセスの間にギャップがなくなる。各プロセスごとに完了し、またスタートを切るということがなくなり、継続的なループになるのだ。
行っている作業のすべての側面に関する情報、プロダクトやプロセスに関する情報が常に最新の形で人々の目に触れるようになる。
このようにして、時間が自由になり、その時間で新たな発明やイノベーションを起こしてほしいという。
AIによる自動化
自動化によっても時間を節約できる。AIによる自動化で、時間のかかる定型的な作業がずっと楽になる。2019年11月には、AIの機能を3DCreaterの一部に導入した。これによりデザインタスクが自動化された。
以前行った似たような形状に対する作業を学習させ、簡単に行うことが出来るようになるのだ。
高精度な設計
また、プラットフォームを使うことで、高い精度で設計とシミュレーションを行うことが出来る。試作が必要なくなり、設計したものが初めから正しいものになる。そしてそれを何度も繰り返すことが出来る。
それだけではなく、エンドユーザーとつながることが出来るので、最新のニーズや必要な機能を知ることが可能になり、プロダクトに反映することで顧客満足度を上げることが出来る。
そうすることで全体的なコストを下げることが出来るのだ。
なぜプラットフォームが必要か

バッシ氏は、「なぜプラットフォームが必要なのかとよく聞かれるが、それは無限のスケーラビリティを出すことが出来るからだ」という。
機能性を一口レベルで拡張でき、限度がないことで、無限の可能性が生まれるのだという。
そして、アプリケーション、情報、人をシームレスにつなげることが出来る。データではなく情報である。データというものはごちゃごちゃして見にくいもの、情報は答えをくれるものだとした。プラットフォーム上でデータを情報に変換してくれる。
だからこそプロダクトからプラットフォームに移行する必要があるのだ。
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大学卒業後、メーカーに勤務。生産技術職として新規ラインの立ち上げや、工場内のカイゼン業務に携わる。2019年7月に入社し、製造業を中心としたIoTの可能性について探求中。