2020年3月5日、ソフトバンクは5Gの商用サービスを3月27日より開始し、「5G LAB」と呼ばれる5G時代を感じられるコンテンツの提供を行う事を発表した。
「5G LAB」はエンターテイメント・スポーツの領域において、自由視点の映像、AR/VRを楽しむ事が出来るコンテンツだ。
「5G LAB」の狙い
説明会に登壇したソフトバンク 副社長 榛葉淳氏によれば、「5GLAB」の狙いは「エンタメ・スポーツの体験価値を変えていくこと」であるという。

例えば、好きなアイドルが、実際に目の前で踊っているような感覚で、ライブ映像を楽しみたい。あるいは、スポーツの試合において、自分の好きな選手が活躍する場面を、お気に入りのアングルから楽しみたい。つまり、場所や時間に縛られることなく、ライブ映像、試合映像を、特等席に座っているかのように体験できる。これが「5GLAB」を提供する狙いであるという。
「5G LAB」、4つのサービスラインナップ
今回、5Gを体験することができる「FR(自由視点)」「AR」「VR」「ゲーム」の4つの分野でサービスが発表された。
自由視点を提供する「FR SQUARE」
「FR SQUARE」は、スポーツの試合中継やアイドルのライブ映像を、多視点から自由に楽しむ事ができるコンテンツだ。今回発表された「5G LAB」のなかで、高速大容量という5G通信の特性を最も活かしたコンテンツだろう。
説明会では、福岡paypayドームにおける多視点映像配信のデモンストレーションが行われた。

福岡paypayドームには、60台の最新鋭カメラが360度を囲むように設置されている。このカメラが撮影した映像を、5G通信でユーザーに配信する。ユーザーはスマートフォンを利用し、自分の好きなアングルの映像を選び、スポーツが観戦できるという。
また、説明会では、AKB48のミュージックビデオを自由な視点から楽しむデモンストレーションが行われた。

ユーザーは、スマートフォン上に映し出されたメンバーのアイコンをタップする事で、そのメンバーがメインに映るアングルへ切り替える事が出来る。つまり、ユーザーは自由に視点を切り替えて、自分のお気に入りのメンバーが映る映像を楽しむ事が出来るのだ。
バーチャルとリアルを融合する「AR SQUARE」
「AR SQUARE」は、スマートフォン上に映し出された現実空間に、3Dホログラム化したタレントやアイドルを登場させるコンテンツだ。ユーザーは、実際にタレントやアイドルと共演しているかのような映像を楽しむ事ができる。

3Dホログラムの撮影については、ソフトバンクが用意したAR専用撮影スタジオで行う。その際は30台の4Kカメラを利用し、等身大のタレント・アイドルの姿を3Dホログラム化するという。
臨場感のある体験を生み出す「VR SQUARE」
「VR SQUARE」は、ライブ・スポーツの映像をマルチアングルで楽しむ事ができるコンテンツだ。例えば、アイドルグループのライブ映像では、ステージに立つメンバーを間近で見ているような臨場感が味わえるという。

説明会において、ライブ映像のデモンストレーションを体験したAKB48のメンバーは「1人1人の顔が鮮明に見える事に驚いた」と感想を述べた。
どこにいてもリッチな体験ができる「GAME SQUARE」
「GAME SQUARE」は、NVIDIAの「GeForce NOW」と提携した、クラウドゲーミングコンテンツである。クラウド上でゲームを処理するため、デバイスのスペックに縛られず、ユーザーはゲームをプレイできる。つまり、スマートフォンやタブレットで、どこでも気軽にPCゲームを遊べるようにする事が、「GAME SQUARE」の狙いであるという。
「GAME SQUARE」は2020年6月からサービス開始を予定している。
5G基本料、「5G LAB」の料金プラン
5G基本料については、月額1,000円を予定している。8月末までに加入した場合は、2年間は無料になるという。
「5G LAB」の料金については、「FR SQUARE」「AR SQUARE」「VR SQUARE」を利用できる「5G LAB ベーシック」が月額500円、「GAME SQUARE」が月額1,800円を予定している。「5G LAB ベーシック」については、5G基本料と同様に、8月末までに加入すれば2年間は無料とのことだ。
5Gを実現するネットワークインフラ
ソフトバンク 榛葉氏は、5Gサービスを実現させる上で、ネットワークインフラに関する2つのアドバンテージを同社が有している事を説明した。
1点目は、全国に23万局の基地局を有している事。この基地局を、優先度を付けながら順次5G通信に対応させる予定だ。
2点目は、Massive MIMO(大量のアンテナとビームフォーミングの技術によって、1人1人に専用の電波を割り当てる技術)に対する先進的な取り組み。ソフトバンクはこの技術を3年前から導入し、基地局同士の電波の干渉に備えていたという。
榛葉氏は「5Gサービスを運用する上で一番大事なのは、インフラである。このネットワークインフラがあるからこそ、5G時代が実現できる」と語った。
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1986年千葉県生まれ。出版関連会社勤務の後、フリーランスのライターを経て「IoTNEWS」編集部所属。現在、デジタルをビジネスに取り込むことで生まれる価値について研究中。IoTに関する様々な情報を取材し、皆様にお届けいたします。