株式会社マクニカは、7月14日「BRAIN AI Innovation Lab(以下、BRAIL)」設立に関する記者発表会を開催した。
「BRAIL」は、AIに脳科学の要素を取り入れ、AIの可能性の拡張やその実装の支援を行う組織である。また、様々な課題に対して、脳科学をベースにしたソリューションをパートナーとの連携により生み出し、社会実装を加速していくとした。
マクニカ 代表取締役社長 原 一将氏(画像左)
マクニカ Brain AI Innovation Lab プリンシパル 楠 貴弘氏(画像右)
脳科学とAIの関係
現在の脳科学では、MEG(脳磁波)やfMRI(磁気共鳴機能画像法)、EEG(脳波)といった非侵襲的な方式で、健康な人の脳活動をリアルタイムで調べることができ、人間の頭の中をより見えやすい形にすることができる。
MEGは、脳の磁界変化を測定し、fMRIは、脳の特定の部位における血流を測定する。EEGは、脳のニューロンの電気的活動を測定するものである。

これまで脳神経学者は、脳活動が認知機能とどのように関連しているかについて研究し、これらの信号の処理を機械学習を使うことで解明することができた。機械学習をEEGのビッグデータ解析に適用することで、脳の複雑な活動パターンを学習し、何が起こっているのかを解読できるようになった。そのような技術を使用して、人が見ているものや意思決定、意識レベル、集中度を検出することができるようになったという。
これまでにマクニカが行ったAIの取り組み

「ARIH」とは、顧客が適切な意思決定を行えるよう、最先端のAI研究・調査・実装による評価をした上で最適なAI技術を組み合わせた知見を提供し、企業課題に対する最適解に導く活動を行うソリューションである。2019年12月設立から累積600本以上の論文調査を行い、その知見をもとに、これまで日用品メーカーでの歩留まり改善や素材メーカーでの外観検査自動化など300件以上のプロジェクトを支援してきた。
「BRAIN AI Innovation Lab」

「BRAIL」の提供する価値は以下の通りである。
- 300件のAIの社会実装の経験を持つ人材が支援を行う。
- 前例の少ない脳科学とAIを組み合わせる取り組みにおいて、研究機関やパートナー企業とオープンイノベーションによる最先端の知見を獲得し共有する。
- 脳とAIを繋ぎ社会課題を解決することを推進する。
「BRAIL」の今後の取り組み
マクニカが想定している「BRAIL」の今後の取り組みは以下の通りだ。
- 人の心のケア
- 身近なもののコントロール
- 新たな製品やサービスを企画
「BRAIL」では、「Brain-AI」をさまざまな領域や課題、ニーズなどに適応するために調査・研究を行ない、その結果さまざまな価値を生み出す機会を増やし豊かな社会の実現へつなげていきたいとした。
「BRAIL」への期待
東京農工大学 教授 グローバルイノベーション研究院 田中聡久氏は、「BrainTechの3要素は、『脳神経科学』、『信号処理AI技術』、『社会実装・社会展開』だと考えている。それぞれの間に存在する『デスバレー』と呼ばれている溝を埋めることが重要であり、その役割を『BRAIL』に期待している」と述べた。
他にも、InnerEye CEO Uri Antman氏、ヘブライ大学 認知神経科学 Leon Y Deouell氏も同会見に登壇し、「BRAIL」設立にともなうBrainTechの進展とイノベーションの発展に期待しているとした。
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