【概要】
・衛星測位システム(GNSS(1)) と車車間・路車間通信(V2X(2))が融合した「V2X-Enhanced GNSS」により、都市部で困難だった測位情報の安全性・精度・信頼性を向上
・高層ビル群、トンネル、立体駐車場内における車線単位での測位精度が、自動駐車や駐車場の空き状況確認などの新しいアプリケーションの開発に貢献
多種多様な電子機器に半導体を提供する半導体メーカーのSTマイクロエレクトロニクス(以下、ST)と、車車間・路車間通信用(V2X)チップセットのパイオニアでV2Xの普及を推進するイスラエルのAutotalksは、GNSS技術とV2X技術を融合させた「V2X-Enhanced GNSS」を発表した。この新しい技術は、認証されたセキュアな車両位置特定により、特に高層ビル群、トンネルおよび立体駐車場内などにおいて、高い精度と信頼性を兼ね備えた測位を可能にし、他車や地上インフラとの絶対・相対位置の高精度な測定が不可欠な自動運転技術の実現に貢献する。
AutotalksとSTが開発したV2X-Enhanced GNSSは、両社が共同開発してきた世界最高クラスのV2Xチップセットをベースにしている。このV2Xチップセットは、車車間・路車間を無線接続し、自動車の安全性向上や運行状況の改善に使用されている。効率的かつ協調的で安全な自動運転技術の実現には、GNSS技術とV2X技術の融合による高精度な測位技術が不可欠だ。
V2X-Enhanced GNSS技術は、路側器などのV2Xインフラとの組み合わせにより、車線単位の精度で車両の絶対位置を測定できる。この高精度な測位は、高層ビル群やトンネル内でのナビゲーション性能を向上させる他、路上や駐車場での自動駐車、駐車場の空き状況確認といった多様なアプリケーションの開発にも貢献する。
2016年、この技術の実証試験は、アジアにおいて、政府機関の監督の下、実施されている。
技術情報
GNSSによる測位精度は、大気による信号干渉、視野内にある衛星の数と角度、マルチパス、アンテナの配置、その他の要因に大きく影響されるが、車車間・路車間通信技術を組み合わせることにより、絶対精度をこれまで以上に高めることができる。
米国政府のデータによると、連邦航空局(FAA)は高品位な標準測位サービス(SPS)レシーバの水平精度として3.5メートル以内を定めている。測位用ICとセキュアなV2Xチップセットを併用することで、GNSSとV2Xという2つの技術が融合し、よりセキュアな車両位置特定が可能になる。
(1)GNSS:Global Navigation Satellite System(全地球航法衛星システム)
(2)V2X:Vehicle-to-Everything通信(V2V:Vehicle-to-Vehicle(車車間)およびV2I:Vehicle-to-Infrastructure(路車間)通信)
【関連リンク】
・エス・ティー(ST)
・Autotalks
無料メルマガ会員に登録しませんか?

IoTに関する様々な情報を取材し、皆様にお届けいたします。