東京でのイノベーションスペースは、秋葉原の、DMM.make AKIBAや、PAAK、などたくさんあるが、大阪にも多く残る製造業とともにイノベーションを起こそうと考える場があった。
元大阪市の公務員で、前職では「大阪イノベーションハブ」の立上げと企画を担当し、西日本を代表するイノベーション拠点に育てたことでも知られている。「共創」という分野の実践者である、TheDECK株式会社 チーフプロデューサーでCOOの角氏にそのコンセプトや現状を伺った。

ーTheDECKをなぜつくろうと思ったのですか?
角(すみ)氏(以降角): 海外からのVC(ベンチャーキャピタル)も日本のスタートアップに興味を持っているところが少なくないと聞いているのですが、現状ではハードウェアスタートアップの拠点が実質東京のDMM.make一択となっていると思います。
DMM.makeはVCを含めて生態系が完全にできあがっているため、海外からのVCが入りづらくなっているとも聞いています。一方、関西には多くの製造業が残っており、ハードウェアスタートアップが起こっていく可能性は高いと考えたのです。
ここに製造業を含む多くの企業にコミットしてもらって、海外ともリンケージできる(特にハードウェアにも対応可能な)スタートアップの拠点を作れば、すごくパフォーマンスがあがると思いました。
また、企業にとってはオープンイノベーションを実践する場所として他の企業やスタートアップとつながれる場所になり、そちらにもメリットが出るとおもうのです。
ーなるほど。TheDECKではどういうことができるのですか?
角: まずはファブスペースとしての利用ができます。
3Dプリンター、3Dスキャナー、レーザーカッターといったファブ機材が利用できます。また、IoTに関する最新のプロダクトの展示があり、それらを実際にさわったり使ったりして体感することができます。
TheDECKは従来のコワーキングスペースの利用者以外の方々をどんどん巻き込んでいこうと思っています。
企業もパートナーというのはその一つなのですが、そうした方々を含め多くの「ここがなければ知り合えなかったであろう人」と知り合い、一緒になってプロジェクトを立ち上げたりできるところもよそではない面白いメリットの一つだと思っています。
その加速ツールとしてドリンクバーだけでなくビールサーバーなども用意しておりますので、打合せ終わりでアルコールを飲みながら仲良くなるということも可能となっています。
もちろん、イベントで使えたり、会議室が利用できたり、集中して仕事をするといった普通のコワーキングスペースとしてもご利用いただけます。
ーどういう人に来て欲しいですか?
角: スタートアップ志向の学生や、起業を考えている社会人、企業内で新しいプロジェクトを立ち上げようとしている社会人。さらには、DIY的に工作・電子工作に取り組んでいる方(クラフト系女子含む)などでしょうか。
…ほかにも従来のコワーキングスペースの利用者でなかったような方にどんどん利用していってほしいと思っています。
ー他のこういったスペースとの違いに、パートナー企業の存在というのがあると思いますが、パートナー企業からみた期待はどういうものがあるのですか?
角: パートナー企業の皆さんは、それぞれに思惑があってここに参加していただいておりますが、よく聞くのは社員の意識改革のために使いたいという声です。
大企業の社員の方が、社外の方、それも先端的な考えや知見をお持ちの方と触れ合うことによって、時代の風を感じ、自社内の文化や風土を刷新していく。そんな社員を生み出すためにここを使いたいと。
そういう方々を生み出すことができれば、個人利用者の方にとっても様々な大企業のリソースが使えるようになるかもしれません。
個人にとっても企業にとってもウィンウィンな関係が築けていけばよいと思います。
ー今後、TheDECKをどんな風に育てていきたいとお考えですか?
角: 一言でいえばイノベーションが起きる場所にしていきたいです。
そのためには多様な人たちとの出会いの場であることが大事だと思います。TheDECKはビルの1階の道路に面した場所に広い窓を取ったビルに作りました。
それはいろいろな方がフラッと入って来られるようにするためなのです。
パートナー企業を含む常連の会員さんだけでなく、様々な方がカジュアルにコミュニケーションをしつつ、お互いに新たなインプット(刺激)を得て、何か作りたいと思ったときに気軽にアウトプット(作る)できる場所。そういう行為の中からイノベーションが起こっていく…
そんな場所になればと思っています。
ーありがとうございました。
参考:TheDECK
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IoTNEWS代表
1973年生まれ。株式会社アールジーン代表取締役。
フジテレビ Live News α コメンテーター。J-WAVE TOKYO MORNING RADIO 記事解説。など。
大阪大学でニューロコンピューティングを学び、アクセンチュアなどのグローバルコンサルティングファームより現職。
著書に、「2時間でわかる図解IoTビジネス入門(あさ出版)」「顧客ともっとつながる(日経BP)」、YouTubeチャンネルに「小泉耕二の未来大学」がある。