味覚が転送できる?!FEEL TECHを推進するNTTドコモ ーMWC2024レポート6

多くの通信事業者が出展しているMWC。レポートの第六弾はNTTドコモのブースから。

日本からは例年ドコモ、そして楽天がブースを出している。

楽天はシンフォニーを中心とした情報発信を行なっている。ドコモは昨年と同じ場所に同じ規模のブースを出展しつつ、昨年以上に多くの来場者を集客していたように見えた。

ドコモブースはOREX(ドコモが展開するOpen RANサービス)、XRそして6Gという3つのテーマで構成されていた。

OREXの普及促進を提案

OREXは昨年も紹介していたが、今年はドコモブースでのプレゼンだけでなく、MWCのステージで、OREXの普及促進をしていくNECとの合弁会社「OREX SAI」の設立を発表した。

OREX SAIはOpen RANの構築に必要なあらゆるネットワーク機器やソフトウェアなどの動作検証し、通信事業者などのクライアントニーズに応じて最適化したモバイルネットワークの企画・構築から保守・運用までを「OREX Package」として提供していくという。

ドコモブースの正面にあったMWCステージに登壇したOREX SAIの経営陣
ドコモブースの正面にあったMWCステージに登壇したOREX SAIの経営陣

実際、ブースの中にもOREXの紹介をするコーナーがあった。

そもそもRANをオープン化したORAN(Open RAN)とは何かということから説明をしてくれる。

まずRANについて簡単に説明するとRANはRadio Access Networkの略で、無線アンテナを有する基地局をイメージしていただくといいだろう。

無線を発信し、無線を介してスマホなどのモバイル端末とつながる設備だ。RANは運用や保守、セキュリティ面などからブラックボックスが望ましいとされていたが、オープン化が求められるようになった背景の1つがEdge CloudなどRANにIPサービスを導入する動きだ。

これまではRANの裏側にあるコアネットワークからインターネット網に接続していたのだが、RAN上でもIPサービスを提供することが可能になってきている。

IPサービスの進化は早く、RAN設備においてもスピーディかつフレキシブルなアップデートが必要となるが、固定ベンダーで垂直統合の設備では、このニーズに対応することが難しい。必要な機能を、提供可能な企業に依頼し、迅速に導入することや、通信事業者が求める機能を持つRANの設計・構築が求められるようになってきている。

ドコモとNECの合弁会社SAIはORANサービスをパッケージ化して提供
ドコモとNECの合弁会社SAIはORANサービスをパッケージ化して提供

QONOQがシャープと共同開発したスマートグラス

XRコーナーではNTT QONOQがシャープと共に開発したスマートグラスのプロトタイプが展示されていた。

シャープはCES2024でも数ミリサイズのHMD向けカメラなどXRデバイスに求められる技術やXRデバイスのプロトタイプを展示していたように、この領域に求められる技術を有している。

NTT QONOQ としては、まだXRデバイス及びユースケースのスタンダードが見えない状況において、デバイスの開発から体験のデザインまで、広く取り組むことで、今後の市場動向にスピーディに対応できるような狙いがあるように見えた。

QONOQがSHARPと共に開発したXRデバイス(プロトタイプ)
QONOQがSHARPと共に開発したXRデバイス(プロトタイプ)

6Gのユースケース FEEL TECH

6Gコーナーでは6GのユースケースをFEELTECH体験で具現化していた。

FEELTECHは人の感覚を転送する技術で、ブースでは触覚、嗅覚、味覚を活用した体験ができるようになっていた。

特に嗅覚・味覚の転送はユニークだった。味覚のデモを体験したのだが、自分の感じた味覚をどうしたらほかの人も同じように伝えられるか、ということを考えて設計されたデモだ。

その前提となる課題が、人によって味の感じ方が違うので、同じ味のものを食べても、自分とほかの人は全く同じようにおいしさを感じていない、ということがある。

FEEL TECH(人間拡張基盤)を体験できるBAR
FEEL TECH(人間拡張基盤)を体験できるBAR

もっとわかりやすく言うと、辛いものをおいしいという人と、辛いものに旨味なんてないという人がいるようなことや、苦さが甘さを引き出すという人もいれば、苦いものを食べると他の旨味が無くなるというような人がいるケースだ。

このデモでは辛みは無かったが、人による味覚の違いを事前にパラメータ化して、自分が感じた味をそのまま別の人に伝送することができる仕組みになっていた。

苦味がおいしいと感じる人の味覚で苦味のある味を感じると、苦味が苦手な人も「あ、これはちょっとおいしいと思うのがわかるかも」という味を実感することができる仕組みになっている。

嗅覚も同様の仕組みということだ。

簡単なアンケートで個人の味覚を診断してから、体験をする仕組み
簡単なアンケートで個人の味覚を診断してから、体験をする仕組み

今回のデモは、人の味覚・嗅覚センスを分析して味や香りをデジタルでチューニングし、デジタル的に味と香りを生成する仕組みだ。この仕組みを使うことで、言語にとどまらず味や香りの伝送ができることが明らかになり、6G時代に実現されるコミュニケーションの拡張が実感できるものにもなっていた。

また、デジタルで香や味が生成できるようになると、食やアロマなどのネット販売方法も大きく変わる可能性がある。通信業界以外の方の視点でこの技術の活用方法や、ビジネスつながるアイデアが出てくると一気に広がっていくことも考えられる。

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