4月18日、Aruba, a Hewlett Packard Enterprise company(ヒューレット・パッカード・エンタープライズ傘下の Aruba 社、HPE Aruba)がグローバル調査レポート「IoT:企業における現在の採用状況と影響、将来展望」の記者説明会を行った。
本調査は、第三者調査機関に委託され、2016年11月~12月に世界の20か国、合計3100名のITおよびビジネス担当の意思決定者のインタビューに基づいたものである。対象組織は500名以上の企業で、特に産業、政府機関、小売り、医療、教育、建設、金融、IT/テクノロジー/通信分野に重点が置かれた。日本で150名が調査に参加したという。
その結果、英国、イタリア、ドイツ、フランス、オランダ、スペイン、スウェーデン、ノルウェー、トルコ、UAE、サウジアラビア、米国、シンガポール、オーストラリア、インド、ブラジル、メキシコ、中国、韓国の20か国の中で、日本がIoT理解度は最も低く、導入も最下位に近かったという。かなり消極的な結果だが、もともと日本でのIoTはかなり狭くとられており、現在一般的に使われている技術もIoTであることが知られていないことがその原因の一つとして取り上げられた。
それにしても、「IoTに対する期待と実際の効果」の質問に対して日本はグローバル基準と同様に、実施効果が期待を上回ったという返事が多かったので、前向きな回答だった。
回答者によると、日本で積極的な導入や展開を阻むのはセキュリティ上の懸念という回答が最も多く(54%)、日本のIoT導入組織のうち91.3%がセキュリティ侵害を経験し、そのうち61%は外部からの攻撃だったという(本調査によると、平均グローバルレベルは84%で、半数以上は外部からの攻撃であるということだ)。
また、日本はITインフラ整備、IT専門家の充実度、セキュリティ対策と予算面ではIoTへの備えは比較的に低かったということも明確になった。
セキュリティは日本国内ではIoT技術普及の最大バリアになっているため、その問題を様々なレベルで解決するソリューションは必要である。
HPE Aruba社がセキュリティ問題を解決するセキュアプラットホームIntelligent edgeを紹介した。本ソリューションは大規模のIoTとセキュリティソリューションプロバイダーのAPIでHPEプラットホームに繋がっており、プラットホーム自体ではセキュリティ対策としてIoT用ネットワーク アドミッション コントロール(NAC)を始め、管理・監視機能やポリシー管理機能が備えている。また、IoT用途で不可欠な位置情報と位置分析機能も提供されている。
同プラットホームの仕組みは、ネットワークにIoTデバイスを接続すると、クリアパス(Clear pass)という同社のポリシー管理ソリューションにデバイス認証を実施する。また、IoTが本格的に展開され、デバイス数が膨大になることに備え、事前にポリシーを決めて自動でデバイス登録を行う仕組みが提案されている。データセンターやクラウドにセキュアトンネルを作って、IoT デバイスからのデータをアップロードする。
また、ネットワーク側でデータ区別を可能にし、ビデオトラフィックなどをHQで入れることで、ネットワークのQoSと効率性を向上できる。
デバイス情報をクラウドで位置情報や第三者のセキュリティ・ソリューションと連携し、HPE Arubaが様々なサービス提供を考えている。また、2017年に買収した行動分析会社Niara の機械学習機能もIntelligent Edge に導入し、異常動作しているデバイスを自動的に隔離することができるようになる。
HPE Aruba事業統括本部 事業統括本部長 田中氏は同社がセキュリティソリューションの提供で日本でのIoT進歩に貢献したいと語った。
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IoTNEWS代表
1973年生まれ。株式会社アールジーン代表取締役。
フジテレビ Live News α コメンテーター。J-WAVE TOKYO MORNING RADIO 記事解説。など。
大阪大学でニューロコンピューティングを学び、アクセンチュアなどのグローバルコンサルティングファームより現職。
著書に、「2時間でわかる図解IoTビジネス入門(あさ出版)」「顧客ともっとつながる(日経BP)」、YouTubeチャンネルに「小泉耕二の未来大学」がある。