【概要】
■2016年の国内ソフトウェア市場は前年比成長率2.2%、ビッグデータの本格化や働き方改革に関連する市場が高い成長
■2017年は前年比成長率3.9%、2016年~2021年の年間平均成長率は4.3%と予測
■IoTやコグニティブ/AIシステムの活用拡大などデジタルトランスフォーメーションにおける取り組みがソフトウェア市場に新たな市場機会をもたらす
■ソフトウェアベンダーは従来型のソフトウェアビジネスから脱却し、クラウドネイティブに適したビジネスモデルを積極的に取り込むことが必要
IT専門調査会社 IDC Japan 株式会社は国内ソフトウェア市場の2016年の実績と2017年~2021年の予測を発表した。IDCが定義するソフトウェア市場には、パッケージソフトウェア、SaaS(Software as a Service)、PaaS(Platform as a Service)の売上額が含まれる。
2016年の国内ソフトウェア市場は2兆6,957億9,700万円、前年比成長率が2.2%となった。大分類市場別では、アプリケーション市場が前年比成長率2.1%、アプリケーション開発/デプロイメント市場が前年比成長率5.3%、システムインフラストラクチャ市場が前年比成長率0.3%となった。最も成長率が高いアプリケーション開発/デプロイメント市場では企業のビッグデータに対する取り組みが本格化し、データ管理ソフトウェア市場とアナリティクスソフトウェア市場の高成長が市場を牽引。
アプリケーション市場では企業の働き方改革に伴い、SaaS型の会議アプリケーションやファイル同期/共有ソフトウェアの需要が拡大するなど、場所やデバイスを問わずに業務を実現するコラボレーティブアプリケーション市場が伸びたという。一方、システムインフラストラクチャ市場では、仮想化ソフトウェアとオペレーティングシステムの売上減少が影響し、微増に留まった。
2017年の国内ソフトウェア市場は前年比成長率3.9%を見込んでいるという。2016年~2021年の年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)は4.3%、2021年には3兆3,342億円に達するとIDCでは予測している。また、大分類市場別の2016年~2021年のCAGRはアプリケーション市場が3.3%、アプリケーション開発/デプロイメント市場が6.7%、システムインフラストラクチャ市場が4.1%とIDCでは予測している。
2016年~2021年のCAGRが最も高いアプリケーション開発/デプロイメント市場では、企業のビッグデータに対する取り組みがさらに活性化しデータ管理ソフトウェアとアナリティクスソフトウェアの高い成長が今後も継続していくとみているという。さらに複数のクラウドサービスやオンプレミスシステムの連携、IoTソリューションでのプロセス自動化で必要となるインテグレーション/オーケストレーションミドルウェア市場も、高い成長を予測している。
アプリケーション市場では、AIの活用が拡大するに伴い、コグニティブ/AIシステム/コンテンツアナリティクス市場が急速に拡大すると予測している。また、マーケティングのパーソナライズ化や顧客エンゲージメントの強化に伴い、CRMアプリケーション市場の成長も見込まれる。
システムインフラストラクチャ市場では、多発する標的型サイバー攻撃対策に向けたセキュリティソフトウェアへの投資が拡大することや、システム運用の自動化、Software-Defined Network(SDN)やSoftware-Defined Storage(SDS)の導入が本格化することが市場を牽引するとIDCではみている。
「すでにクラウドやビッグデータ/アナリティクスなどの第3のプラットフォームはソフトウェア市場の成長に大きく寄与している。今後は、デジタルトランスフォーメーション(DX)に向けたIoTやコグニティブ/AIシステム、ロボティクスなどイノベーションアクセラレーターの活用拡大がソフトウェア市場に影響を与え、ITサプライヤーのソフトウェアとクラウドビジネスに新たな市場機会をもたらすであろう」と、IDC Japan ソフトウェア&セキュリティのリサーチマネージャーである入谷 光浩氏は述べている。
・レポート概要はこちら 国内ソフトウェア市場予測 、2017年~2021年
<参考資料>
国内ソフトウェア市場予測:2016年~2021年(2016年は実績値、2017年以降は予測)
【関連リンク】
・IDC Japan
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