ソフトバンクとファーウェイは、5Gエンドツーエンドネットワークが提供する「超高速通信」「超低遅延通信」「エッジコンピューティング」を用いたさまざまなユースケースのデモンストレーションをパートナー企業向けに共同で実施したと発表した。
今回のデモンストレーションにおいては、5Gネットワークが提供する超高速通信を用いた超高精細リアルタイム映像伝送、超低遅延通信でのロボットアームの遠隔制御、エッジコンピューティングを用いたGPUサーバーによる遠隔レンダリングなど、さまざまなユースケースを想定したデモンストレーションを実施。
その結果、超高精細リアルタイム映像伝送のデモにおいては800Mbpsを超える高速通信を実現し、ロボットアームの遠隔制御のデモにおいてはエンドツーエンドで片道2ms以下の超低遅延通信を実現したという。
以下で様々なユースケースのデモンストレーションについて紹介していく。
超高精細リアルタイム映像伝送
デモルームに設置された超高精細カメラで撮影した風景を、デジタル送受信処理装置でリアルタイムにデータ圧縮して、5Gネットワークの超高速通信を用いて伝送し、伝送した映像を高精細モニターに表示する。
今回のデモでは、高精細映像データを5Gネットワーク上で超高速伝送することにより、目の前に見えるお台場の景色を、ほぼリアルタイムで60インチの大型モニターに配信することに成功。遠隔医療、遠隔授業など、さまざまな業界での活用が期待される。
イマーシブビデオ
デモルームに設置された180度カメラで撮影した風景を、5Gネットワークの超高速通信を用いて配信する。複数の端末ユーザーがそれぞれ異なった角度から同時に風景を楽しめるよう、4つのレンズを搭載した180度カメラで別方向の映像を撮影し、これらの映像をリアルタイムに合成して広角のパノラマ映像を生成する。
このパノラマ映像をデータ圧縮し、5Gネットワークでリアルタイムにスマートフォンやタブレットへ配信することで、臨場感の高いユーザー体験が実現した。5Gネットワークとの融合により、仮想現実(VR)や拡張現実(AR)などでの活用が期待される。
超低遅延でのロボットアーム遠隔制御
エアホッケーゲームにおいて、人間とロボットアームが対戦するデモが行われた。ゲームボード上部に設置したカメラが、パックの位置を検知して軌道計算を行い、5Gネットワークを利用して計算結果をリアルタイムにロボットアーム制御サーバーに転送することで、ロボットアームの遠隔操作を行う。
今回のデモでは、人間が打ったさまざまな軌道のパックをロボットアームが即座に跳ね返すことに成功。工場の自動化(ファクトリーオートメーション)などでの活用が期待される。
GPUサーバーによる遠隔レンダリング
レンダリングとは、映像や画像をGPU(graphic processor unit)を搭載した計算処理で生成する技術のことで、コンピュータゲームやCAD(computer aided design)における高精細映像の生成に用いられる。しかし、GPUなどの計算処理のリソースを大量に消費するため、従来のタブレットやスマートフォンでは、高精細CADや高精細コンピュータゲームなどを実行できないという課題があった。
今回、5Gのエッジコンピューティング技術を用いて、5G基地局に近接して設置されたGPUサーバーでレンダリングを行い、生成された映像を5Gネットワークにより超高速・超低遅延通信でタブレットに配信することで、計算処理のリソースの限られたタブレットにおいて超高精細映像を表示するデモが行われた。この技術は、建設現場などにおけるタブレットを用いた設計図データの確認や、スマートフォンでの高精細ゲームアプリなどでの活用が期待される。
【関連リンク】
・ソフトバンク(SoftBank)
・ファーウェイ(Huawei/華為技術)
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技術・科学系ライター。修士(応用化学)。石油メーカー勤務を経て、2017年よりライターとして活動。科学雑誌などにも寄稿している。