NVIDIAはレベル5の完全自動運転の実現に向け設計されたAIコンピューター「NVIDIA DRIVE PX Pegasus」を発表した。2018年後半に自動車業界のNVIDIAパートナー様向けに提供が開始される。また、「NVIDIA DriveWorks」ソフトウェアと「NVIDIA DRIVE PX 2」から成る構成は、自律走行車およびアルゴリズムに取り組む開発者向けに、本年10月12日より提供される。
「DRIVE PX Pegasus」は、従来の「DRIVE PX」プラットフォームを拡張し、レベル5の自動運転車に対応させたものだ。毎秒320兆回を超える演算が可能で、前バージョンである「DRIVE PX2」の10倍を超えるパフォーマンスを発揮する。
現在、「DRIVE PX」プラットフォーム上で開発を進める225社のパートナーのうち、25社を超えるパートナーが「NVIDIA CUDA GPU」を利用したレベル5の完全自律型ロボットタクシーの開発を進めているという。
レベル5の完全自動運転には膨大なコンピューティング能力が必要だ。高解像度の360度サラウンドカメラとLIDARによって世界を認識し、センチメートル単位の精度で自車の位置を特定する。また、自車の周囲に存在する車両や人を監視し、目的地までの安全で快適な経路を計画しなければならない。
これらすべての処理を安全性を確保しながら実行するには、従来の最先端自動車の50~100倍に相当するコンピューティング能力が必要になるという。
「DRIVE PX Pegasus」は、高性能AIプロセッサを4基搭載。NVIDIAの最新の、Xavierシステムオンチッププロセッサ2基(NVIDIA Voltaアーキテクチャに基づく組み込みGPUを搭載)と、ディープラーニングやコンピュータービジョンのアルゴリズムを加速させるために開発されたハードウェアを備えた次世代ディスクリートGPU2基を接続している。
このシステムは、完全自律型の車両に適した膨大なコンピューティング能力をナンバープレートサイズのコンピューターで提供し、エネルギー消費量とコストを低減するという。
「DRIVE PX Pegasus」は、ASIL Dの認証に対応するよう設計されており、CANやFlexrayのほか、カメラ、レーダー、LIDAR、超音波の16の専用高速センサー入力を含む自動車入出力とともに、複数の10ギガビットのイーサネットコネクタをサポートする。
その統合されたメモリ帯域幅は、1秒あたり1テラバイトを超える。
「NVIDIA DRIVE PX」プラットフォームは、レベル2+/レベル3の性能を提供する単一モバイルプロセッサ構成から、完全なレベル5の性能を提供する複数のモバイルプロセッサとディスクリートGPUを組み合わせた構成まで対応している。これらの構成は、単一のオープンソフトウェアアーキテクチャ上で動作する。
これにより、自動車メーカーとティア1サプライヤーは、AutoCruise (高速道路向け)から、AutoChauffeur(2地点間走行向け)、Pegasus(完全自律型車両向け)に至るまで、幅広い自動運転ソリューションを開発から生産へと移すことが可能になる。
「NVIDIA DRIVE PX」は、NVIDIA のAIコンピューティングソリューションファミリーに含まれる。データセンター内の「NVIDIA DGX-1 AI」スーパーコンピューター上でディープニューラルネットワークのトレーニングを行っているデータサイエンティストは、車内の「NVIDIA DRIVE PX」もシームレスに操作できる。
その統合アーキテクチャによって、データセンターで稼働しているものと同じNVIDIA DRIVEソフトウェアアルゴリズム、ライブラリ、およびツールが車内でも動作する。
この Cloud-to-Carアプローチにより、車両が無線でのアップデートを受信できるようになるため、自動車に新しい機能をライフサイクル全体にわたって追加し続けることができる。
提供:NVIDIA
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技術・科学系ライター。修士(応用化学)。石油メーカー勤務を経て、2017年よりライターとして活動。科学雑誌などにも寄稿している。