半導体メーカーのSTマイクロエレクトロニクス(以下、ST)は、最新のBluetooth無線ネットワークを使用して、スマートフォンから制御可能なネットワーク接続型機器の開発に向け、新しいソフトウェアを発表した。
Bluetoothの標準化団体であるBluetooth SIG(Special Interest Group)は、メッシュネットワークを規格化したBluetooth 5の仕様を発表した。これにより、多数の機器間での相互通信が可能になるほか、携帯電話から多数の
機器に直接接続することができる。
また、現在発売されているすべてのスマートフォンがゲートウェイやルータを経由することなくBluetoothメッシュネットワーク上の機器と接続できるため、スマート照明、ビル自動化システムのほか、IoTアプリケーション(周辺環境の検出、産業モニタリング、アセット・トラッキングなど)を簡単に制御できるようになる。
業界標準であるBluetooth 5のメッシュネットワークにより、さまざまな機器メーカは相互通信できる製品を開発し、ユーザは柔軟かつ自由に機器を選択できる。
STのBlueNRG-MESHソフトウェア開発キット(SDK)は、ネットワーク接続型機器と、制御用スマートフォン・アプリの開発を可能にする。同製品は3部構成のSDKとして、Android用およびiOS用の2つのアプリ開発用パッケージと、スマート機器(照明設備やセンサなど)の開発に対応する組込みシステム開発用ソフトウェアを提供する。
これら3つのパッケージは、BlueNRG-MESHソフトウェアに対応済みのSTのBluetooth low energy ICであるBlueNRGファミリの製品を使用したアプリケーションを動作させるために必要なあらゆるソフトウェアを提供する。
BlueNRG-MESH SDKは、本年第4四半期に提供が開始される予定だ。
製品の特長や仕様は以下の通り。
- BlueNRG-MESH SDKは、Bluetooth low energy(BLE)アプリケーション・プロセッサ(BlueNRG-1、またはBlueNRG-2)やBLEネットワーク・プロセッサ(BlueNRG-MS)を使用したBluetoothメッシュネットワーク・ノードの開発をサポートする。組込みシステム用のSDKには、ハードウェア・アブストラクション・レイヤやボード・サポート・パッケージを含むドライバ・レベルのソフトウェア、BlueNRG-MESHライブラリやBlueNRGコア・スタックなどのミドルウェア、センサやLED照明用のサンプル・アプリケーション・コードが含まれる。
- Bluetooth無線とARM Cortex-M0プロセッサを集積したBlueNRG-1およびBlueNRG-2は、スマート機器向けの1チップ・ソリューションだ。これらは最高動作温度が105℃のため照明機器に最適。BlueNRG-MSは、これとは別のホスト・コントローラを使用して動作させるため、既存の製品にSTのBLE無線ソリューションを追加できるとともに、SDKを活用して柔軟にBluetoothメッシュネットワークを実装することができる。
- Android用およびiOS用のパッケージには、コア・スタックとサンプル・アプリケーションが含まれており、ネットワーク上の機器の設定や制御が可能なスマートフォン用アプリの開発に役立つ。スマート照明を導入する場合には、照明の追加や削除、ネットワークへの新規登録、照明のグループ化、制御プログラム作成、ジェスチャ・コントロール(タップやシェイク)などの機能を含めることも可能。
【関連リンク】
・STマイクロエレクトロニクス(ST)
無料メルマガ会員に登録しませんか?

技術・科学系ライター。修士(応用化学)。石油メーカー勤務を経て、2017年よりライターとして活動。科学雑誌などにも寄稿している。