【概要】
■2017年第3四半期のウェアラブルデバイス世界出荷台数は前年同期比7.3%増の2,626万台
■XiaomiとFitbitが360万台で世界トップ。アップルは272万台で3位
■腕時計型はアプリのインストール可能なスマートタイプへの市場のシフトが顕著
IDCの調査によると、2017年第3四半期の世界のウェアラブルデバイス出荷台数は、前年同期比7.3%増の2,626万台となった。ベーシックウェアラブル(サードパーティー製アプリをインストールできないもの)が前年同期比4.4%減と前四半期からの前年割れが続く一方、Apple WatchやAndroid Wearなどを搭載するスマートウェアラブルデバイスが前年同期比64.9%増と対照的な結果となった。
この結果に対して、IDCのウェアラブルデバイスチームのリサーチマネージャーであるレイモン・リャマス氏は次のように述べている。
「Fitbit、XiaomiおよびHuaweiが投入しているベーシックウェアラブル機器はウェアラブル市場を形成するのに役立ちはした。だが、アップルやFossil、Samsungなどから登場しているスマートウォッチのような多機能型デバイスへと消費者の好みや志向が変化する中で、各ベンダーはこの市場における成長機会と消費者からの認知を獲得するため、その戦略を軌道修正するための岐路に立たされている」
また、IDC Mobile Device Trackerのシニアリサーチアナリスト、ジテシュ・ウブラニ氏は次のように述べている。
「販売されるデバイスのタイプが変化するのに伴い、デバイスが販売される場所も変化しつつある。家電系のチャネルはウェアラブルデバイスの販売において依然として大きな役割を果たしているが、MovadoやFossilなどの企業はよりファッション的色彩の濃いチャネルでの展開を図っている。他方、アップルがセルラーモデルを投入したことや、Samsungが通信事業者と長年にわたる関係を維持してきたことは、このウェアラブルデバイスという製品の認知と売上を向上させることにも貢献している」
XiaomiとFitbitは第3四半期、共にトップとなったが、その商品トレンドは大きく異なっている。
Fitbitの出荷台数は対前年同期比で大きく減少した一方で、フィットネス市場での豊富なユーザー資産を継承すべく初めて同社は最近スマートウォッチ「Iconic」を投入した。Iconicの初期段階でのレビューは期待の持てるものであるものの、同社の出荷台数は前年割れがこの4四半期継続している。
Xiaomiは従来から発売しているフィットネスバンドや腕時計型デバイスに加えスマートシューズを投入し、ラインナップの多様化を図ることで前年同期と比較した出荷台数はわずかな減少にとどまった。しかしながら、同社の出荷は大半が中国国内向けである状況が続いている。
アップルの好調な出荷実績は、本四半期後半に行われた新製品の投入によるものだとIDCは分析している。このWatch 3の出荷量は、同社がこの分野での競争での優位性を維持するのにも十分なものだった。
また、セルラーモデルの投入はこの商品に対する潜在的購入者の関心を高め、音声通話、データ通信、ストリーミングなどセルラーモデルならではの機能に対するゆっくりとした、しかし明確なアプローチは、消費者がスマートフォンなしでのユーザー体験環境に順応するための時間を与えることにもなるという。
Huaweiはいくつかの新モデル(Sport Band 2 Pro、B19、B29を含む)を市場に投入したことにより前年同期比で最大の成長となり、初めてトップ5に入った。また、同社は心拍数の測定が可能なスマートイヤフォン「Sport Pulse Earphones」を発売した。ただし、Xiaomi同様、同社の市場の大半は中国に限られている。
Garminの出荷台数は前年同期比3.3%の減少だったが、ベーシックウェアラブルからスマートウェアラブルへとラインナップの軸足を移行させている。そして今でもGarminは最も多様な製品ポートフォリオを擁するベンダーのひとつであり、同社は多くのスポーツやライフスタイルに対応した製品を出しており、そのほとんどでスマートウェアラブル製品を発売しているということだ。
【関連リンク】
・IDC Japan
無料メルマガ会員に登録しませんか?

技術・科学系ライター。修士(応用化学)。石油メーカー勤務を経て、2017年よりライターとして活動。科学雑誌などにも寄稿している。