株式会社ソフツーが提供するクラウド型コールセンターシステム「BlueBean」は、東芝デジタルソリューションズ株式会社が提供する東芝コミュニケーションAI「RECAIUS」サービスの1つである通話エージェントによる電話自動応答に対応した。
AIを活用し、自由発話の電話対応を実現
昨今のコールセンター業界ではオペレーターの採用費・人件費の上昇が経営の課題になっており、採用後も離職・異動などによる人員補充にかかるコストも併せて高いウェイトを占めている。
ソフツーは、「BlueBean」を通じて「RECAIUS」を使用することによって、オペレーターの代わりにAIエージェントを応答させ限られた人員をよりコアな業務に集中させることができ、コールセンターや企業内の電話業務部門などに、より最適なソリューションを提供・提案することが可能になるとしている。
また、「BlueBean」が「RECAIUS 通話エージェント」との連携に対応することによって、人とAIが分業し、限られた人員の中で生産性を高めることを目標としており、同時に、業務負荷の偏りを緩和することでコールセンターにおける働き方改革の推進にも貢献していくという。
クラウド型コールセンターシステム「BlueBean」
「BlueBean」はインターネット回線を利用したクラウドサービスで、インバウンド・アウトバウンド業務に必要な様々な機能をワンパッケージで提供するシステムだ。
「BlueBean」と利用者(社)の顧客管理システムを連動させることで、着信相手の情報を瞬時にパソコン画面に表示したり音声ガイダンスを流して担当回線を振り分けたりして、これまでオペレーターが担ってきた顧客情報検索や回線転送などの業務を省力化する。
自動発信もできるので、顧客名簿をもとに自動で電話をかけて音声ガイダンスでアンケートを採るといった使い方も可能だ。
業務の効率化や人件費の削減につながるだけでなく、パソコンとインターネット環境があればどこからでもアクセスできるため、在宅ワークに取り入れる動きも広まっている。2009年の発売以降、コールセンター企業を中心に約180社が導入している。
東芝コミュニケーションAI「RECAIUS」と連携
従来の音声ガイダンスと違って人とAIエージェントで会話ができるので、電話の掛け手、受け手両方の負担が減るという。
例えば通信販売の電話受付業務の場合、電話をかけた購入希望者は担当者オペレーターにつながるまで音声ガイダンスに沿ってプッシュボタンを操作する必要があった。
携帯電話やスマートフォンでプッシュボタンを押すのは手間であり、ガイダンスを聞くのは時間もかかる。その点AIエージェントは購入希望者の言葉を理解するので、AIエージェントが「購入ですか、問い合わせですか」と尋ねたら、購入者は「購入です」と答えるだけで次の質問に進むことができる。
希望商品の確認なども行えるため、人は最後の申し込み手続きを行うだけで購入ができるようになる。
また発信業務では、例えば支払いの催告業務で電話する際に一方的に音声ガイダンスを流すより、AIが話しかけるほうが受け手も聞き入れやすくなると考えられる。支払いの意思を確認したり、相手先が希望すれば支払い方法を案内したりすることもできる。
必要とされる場面
生産年齢人口の減少で、企業はどこも人材確保に頭を悩ませている。特に深夜も稼働するコールセンターは人を集めるのに多額の経費を割いているのが現状だ。そのため、機械に任せられることは機械に任せて人間は専門的な仕事に専念しようという考えが出てきている。
「BlueBean」を導入することでアナログな作業を省力化でき、AIであれば24時間休みなく働くこともできるので、その分の人員が抑えられコスト削減にもなる。採用募集や新人教育にかかる費用を含めると大きな経費削減につながると期待される。
期待される活用例
パターン1:深夜帯の電話受付業務
通信販売において、深夜帯の問合せ対応を行うコンタクトセンターなどではオペレーターの採用が難航しやすく、採用時給も必然的に高めの設定で募集しているところがほとんどだ。
しかし、「BlueBean」と「RECAIUS通話エージェント」との連携により顧客からの電話をAIで1次対応し、申込希望であればオペレーターへエスカレーションするという方法で、貴重な人員を2次対応に集中させることができる。
パターン2:自治体の電話催告業務
各自治体では税金や市営住宅の家賃、水道料金、図書の返却など様々な催告業務や口座振替への勧奨業務がある。
これらの発信業務を「BlueBean」の自動発信機能と「RECAIUS通話エージェント」を併用することで、AIによる1次案内から納付方法などの通知を希望する方をオペレーターへエスカレーションするという方法をとることができる。
これにより各自治体での業務負荷を軽減するとともに、かかる人件費コストを削減することができる。
パターン3:宅配の再配達削減のための電話確認業務
国土交通省で行われた消費者アンケートでは、再配達を利用した理由について「配達が来るのを知らなかった」が約42%で最も多い回答だった。
再配達による社会的損失が問題になる中で、国土交通省では利用者とのコミュニケーションを強化することを今後の課題としている。そこで、「BlueBean」の自動発信機能と「RECAIUS通話エージェント」の併用であれば、配達日の前日までに電話で通知をすることができる。
また、荷物を受け取れなかった場合に再配達を促す電話業務にも利用でき、AIとの会話の中で再配達の日時指定も行える。AIを使ったコミュニケーションの強化によって、業務負荷の軽減や労働力の最適化を図ることができる。
【関連リンク】
・ソフツー(SOFTSU)
・東芝デジタルソリューションズ(Toshiba Digital Solutions)
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技術・科学系ライター。修士(応用化学)。石油メーカー勤務を経て、2017年よりライターとして活動。科学雑誌などにも寄稿している。