ウイングアーク1st株式会社は、総合機械メーカーの東芝機械株式会社が、スマートファクトリーに対応する「IoT+mプラットフォーム」を自社工場で実証する上で「MotionBoard」を採用し、多様な生産情報の見える化を実現したと発表した。
導入の背景
第一ステップ:IoTへの取り組み
東芝機械は、「IoT +mプラットフォーム」の開発を進める中で、自社工場での実証を進めている。中でも大型工作機械で用いられるさまざまな部材を鋳造から仕上げ加工まで一貫生産している材料加工事業部では、IoTへの取り組みが先行していた。
同事業部は、温度、湿度、振動、周波数、色などの多様なセンサーからデータを集めてリアルタイムにモニタリングする「スマート見える化」(監視IoT)をベースに、集めたデータを分析することで「スマートメンテナンス」(保守IoT)や「スマートマニュファクチャリング」(製造IoT)につなげていくトータルなプラットフォームの開発に寄与していた。
「班別進捗状況」「機械別操業達成率」「ラインの負荷情報」「品質情報」の4つのカテゴリの情報をKPIとしてExcelで管理し、関係者に公開することで見える化を行った。
第二ステップ:見える化への取り組み
しかし、これらの生産情報を横断的に見るのは困難で、全員が共通の認識を持つことができず、どうしても状況変化への対応が遅れてしまっていた。
生産情報の見える化を実現するためには、これまでExcelで個別に管理されている多様なデータを一つのダッシュボード上に集約し、誰もが直感的に操作・認識できるBI(ビジネスインテリジェンス)の仕組みが必要と考え、着目したのがウイングアークの「MotionBoard」だという。
「MotionBoard」は、同社で、すでに経営情報を可視化するツールとして導入されていたことに加え、全社的に利用できるツールおよびデモで確認した画面の完成度の高さが決めてとなり、全社共通のBI基盤として拡大導入するに至った。
導入効果
スマート見える化(監視IoT)のダッシュボードには、工場内の各機械や装置の稼動状況、発生中のアラームなどが一覧表示される。
この見える化による最大の成果は、「その時点で各ラインに発生している異常を察知するのはもちろん、時系列に基づいた長期的な傾向も捉えられるようになったこと」にあったという。
例えば、期間を指定したトレンドグラフと起こった事象(イベント履歴)を紐付けて見ることもでき、見過ごしがちだった長期的な変化も捉えられるようにすることで、「現場が何かに気づき、気づけば動く、動けば変わる」という改善サイクルが確立される。
生産情報のダッシュボードと監視IoTのダッシュボードを合わせて見ることで、毎月早い段階で生産計画に基づいた“ 備え” が行えるようになり、月々の生産性は着実に向上しているという。
また、見える化されたデータから「ある部品のちょっとした汚れが機械の故障につながっている」という“ 気づき” を得た現場が、自発的なクリーニングに乗り出すなど、さまざまなアクションにつながっている。
この結果、ダッシュボードの導入前後で機械の突発故障による機械停止時間は半分以下に削減できたということだ。
【関連リンク】
・ウイングアーク1st(WingArc1st)
・東芝機械(TOSHIBA MACHINE)
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技術・科学系ライター。修士(応用化学)。石油メーカー勤務を経て、2017年よりライターとして活動。科学雑誌などにも寄稿している。