大崎電気工業株式会社(以下、大崎電気)は、IoTを活用した農業支援サービス「ファームウォッチ」を開発し、一般農家及び農業法人向けに提供を開始する。
日本における農業は深刻な人手不足に直面しており、農業就業人口の改善が急務となっている。
その一方で、食品に対する消費者の要求は厳しくなっており、2020 年東京オリンピック・パラリンピック競技大会では、選手村に供給される農産物を提供する農家は、農林水産省が進める日本版農業生産工程管理注(GAP: Good Agricultural Practice:以下、GAP※)の規格を取得することが義務づけられる見通しだ。
このような課題を解決する手段のひとつとして、IoTを利用した効率的な生産手段が導入されるなど、生産規模にあった費用対効果の高いIT化が求められている。
しかしその一方で、設備の新築やそれに伴う関連設備の高額導入など、大きな初期投資がビニールハウスのIT化普及への障壁となっている。
「ファームウォッチ」は、既存のビニールハウス内にセンサーを設置し、温度や湿度、照度、土中の水分を分析・記録。これらの情報は専用アプリからリアルタイムで確認できるとともに、使用した機材や資材、作業の内容を記録できる。
またこれらの作業日報データは、GAP申請に必要な生産管理データとして活用できるため、これまで手入力であったGAPの申請負担が軽減される。
大崎電気は、2017年11月より熊本県のトマト農家と連携し、ビニールハウスで実証実験を行ってきた。今回、作業日報ツールが完成したことや、ハウス内環境のモニタリングの検証結果を踏まえ、サービス提供を開始する。
また、熊本県嘉島町に設置したデモハウスでは、ポンプや開閉装置、循環扇風機、暖房機などを遠隔制御する実証実験を実施し、製品化に向けた開発を進めている。これにより、ビニールハウスに直接出向くことなく、遠隔地からの管理が可能になると期待される。
※GAP(Good Agricultural Practice:農業生産工程管理)とは、農業において、食品安全、環境保全、労働安全等の持続可能性を確保するための生産工程管理の取組のこと。
【関連リンク】
・大崎電気(OSAKI)
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