沖縄県糸満市と株式会社KDDIウェブコミュニケーションズは、本日より地方創生プロジェクト「Cloud ON OKINAWA」の取り組みの一環として、照度・温度を電話及びSMSで通知する農作業支援通知システム「てるちゃん」の実証実験を沖縄県糸満市にて開始する。
沖縄県の小菊の出荷量は全国1位(※1)であり、糸満市では小菊へ人工的に光を当て花芽の形成と開花時期をコントロールする栽培方法「電照菊」の栽培が盛ん。また、マンゴーにおいても拠点産地(※2)に認定されるなど生産が盛んだ。
電照菊とマンゴーはどちらも出荷までにかかる作業量・時間が膨大なため、作業の効率化が課題となっていた。
小菊は、光に当たる時間が短くなると花芽をつけ開花準備をする性質があるため、夜間の電照により日照不足を補い成長をコントロールする。そのため、ブレーカー落ちによる電照切れが3日間程続くと、予定より早く花芽がつき茎の長さが出荷基準に満たず、大きな損失となる。
生産者はブレーカー落ちの確認をするため、2~3日に1回のペースで圃場に行く必要があり、睡眠時間を削りながら深夜に見回りをしている現状だ。
また、マンゴーは「花芽を揃える為の温度管理が必要な時期」「受粉の為のミツバチの活動に適した温度管理が必要な時期」「成熟前の高温障害防止等の為の温度管理や、多湿による炭疽病等の発生に気配りする時期」と、各成長過程においてビニールハウス内の温度や湿度に特に気をつかう。
そのため、日差しと温度が気になるとすぐ作業を中断し、ビニールハウスの温度計を都度確認する必要があり、時間のロスを生んでいる。
これらの作業負担軽減と作業の効率化のため、両者は照度・温度を電話及びSMSで通知する農作業支援通知システム「てるちゃん」を開発。ブレーカー落ちによる電照切れやビニールハウス内の気温変化をセンサーにより感知し、設定値を超えるとクラウド電話APIサービスTwilio(トゥイリオ)により、生産者の携帯電話に電話・SMSで通知する。
また、気になるタイミングでシステム側に電話をかけることによりリアルタイムで照度・温度の値を知ることも可能なシステムだ。
※1 政府統計の総合窓口(e-Stat)より平成28年産生産小菊出荷統計
※2 産地協議会を設置し、安定生産・安定出荷体制を確立するための具体的な取組方針を持つ自治体で、県が産地として認定した農林水産物の産地。なおかつ、沖縄県で選定された戦略品目の産地。
【関連リンク】
・KDDIウェブコミュニケーションズ(KDDI Web Communications)
・沖縄県糸満市
無料メルマガ会員に登録しませんか?
IoTに関する様々な情報を取材し、皆様にお届けいたします。