農林水産省は今年6月に、スマート農業における「経済財政運営と改革の基本方針2019」について閣議決定した。
そのなかで、農林水産業の活性化をめざすために「農業新技術の現場実装推進プログラム」が加速し始めた。
ここでは、制度的課題への対応も含めた技術実装の推進、とくにスマート農業の実現等により競争力強化を更に加速させることを目標としている。
さらには、2022年度までに、様々な現場で導入可能なスマート農業技術が開発され、農業者のスマート農業に関する相談体制が整うことを目指すなど、スマート農業に対する取り組みはどんどん活発化してきている。
その背景には、農業における平均年齢の上昇している一方で、経営の大規模化、農作業の効率化、省力化といった課題がなかなか解決されていないところにある。
そんななか、インターネットイニシアティブ(IIJ)は、「水田の水管理を省力化する水田水管理IoTシステム」を開発し、主に大規模な水田を保有する農家やJAを対象に販売を開始した。
このシステムは、自宅にいながらスマートフォンで圃場の状況を把握し、水田の水管理にかかる労働負荷軽減を目指すものだ。
水田の水位と水温を測定するIoTセンサーと、取得したデータを無線経由でクラウドに蓄積し遠隔からスマートフォンで確認できる通信機器、そしてアプリをパッケージにしたスターターキット「水管理パックS」として2019年12月25日より受注受付を開始した。なお提供は2020年3月となる。
IIJでは、2017年から農研機構生研支援センターの支援を受け、水田の水管理の省力化を可能とする低コストなICT水管理システムの実証実験を静岡県磐田市、袋井市でおこなっていた。
今回提供されるスターターキット内容
- 水田の水位と水温を測定するLoRaWAN®対応のIoTセンサー(10台)
- センサーからデータを収集しクラウドに送信する無線基地局(1台)
- スマートフォンでデータを閲覧するための専用アプリケーション(3年間の利用料)
- センサーとデータを集積するクラウド間の通信料(3年分)
販売価格
398,000円(税抜)
センサーを設置する圃場から無線基地局の設置予定場所までの通信状況を確認したい場合、電波測定機器を通信試験目的で無償貸し出しが可能とのこと。
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