株式会社MOVIMASと、スマートブルー株式会社は、農業と発電事業を両立するソーラーシェアリングで、IoTソリューション“MOVIMAS AGR”を利用し、遠隔での圃場環境計測及び制御と、発電量監視を行い、高単価作物を栽培する実証事業を開始した。
農業従事者数は、この30年あまりで約65%減り(※1)、2016年の平均年齢は66.8歳(※1)となり、全体の約63%を占めている(※2)。これに対し、耕作放棄地面積は同じく30年間で約3倍に増え、2015年には42.3ha(滋賀県の面積ほど)となったという(※3)。
その様な状況の中で、農地の上に支柱を立て、営農を続けながら上空の太陽光パネルで発電事業を行うソーラーシェアリングは、いまや全国で698件(※4)が認可されている。ソーラーシェアリングは定期的な売電収入により安定的に営農が継続できるといった利点がある。しかし、農業の担い手不足や作物の販売単価の下落などにより、正しく営農が継続されず農地が放棄され、ただの発電所と化しているという問題も多く指摘されているという。
この問題を解決すべく、MOVIMASとスマートブルーはIoT技術を活用し、圃場環境の計測とソーラーシェアリングの発電量モニタリングに対応した“MOVIMAS AGR”の実証事業を開始する。“MOVIMAS AGR”は、遠隔で圃場の温湿度といった環境計測が可能。また土中水分や肥料濃度を計測し、その値を見て遠隔で灌水や液肥散布を行うこともでき、営農者の負担となっていた営農稼働の削減が可能だという。
また、同実証事業ではソーラーシェアリングによる売電と希少価値が高く高単価な「スーパーフード」「スーパーフルーツ」等の種苗を利用した栽培を行い、収益性を高める。これにより、新規就農者は、低リスクに営農をスタートすることができ、再生可能エネルギーの恩恵を受けながら、手間のかからない安定的に生産が可能になったという。
MOVIMAS AGRの特徴は以下の通り。
- 温度、湿度、風向、風力、雨量、日射、気圧の計測
- 遠隔からカメラによる作物の生育状況の確認
- 発電状況のモニタリング
- センサーデータに基づく灌水と液肥の自動化
今後は、2017年5月に統合環境制御の実装による施設環境制御の完全自動化が予定され、2017年夏にソーラーシェアリングと蓄電池の遠隔制御を組み合わせたVPP事業の実証開始予定だとしている。
※1 出展:農林水産省 農業労働力に関する統計
※2 出展:農林水産省 農林業センサス
※3 出展:農林水産省 荒廃農地の現状と対策について
※4 出展:(一社)全国営農型発電協会
【関連リンク】
・モビマス(MOVIMAS)
・スマートブルー(SMART BLUE)
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