ボッシュ、AI活用した病害予測システム「Plantect」販売開始

ボッシュの日本法人、ボッシュ株式会社は、AIを利用したハウス栽培トマト向け病害予測システム「Plantect(プランテクト)」を、2017年内に販売開始する。

農業では、収穫量や農作物の価格変動などによる農家の不安定な収入が課題の一つだった。収穫量に影響を及ぼす主な要因として、自然災害などの外部環境にともなう要因の他に、病害の発生が挙げられる。病害を予防するためには、感染の前後で予防薬を散布することが最も効果的だと考えられているが、病害が実際に発生するまで目に見えないため、散布の最適なタイミングを把握することが困難だった。

また、農薬の散布量とタイミングを適切に管理するためにも、病害発生の兆候を把握することは重要だという。ハウス栽培では、温度湿度等の基本的なパラメータのほか、日射量や葉濡れ、栽培環境や外気象が病害発生に影響を及ぼすため、これら作物の育成に影響する要因をAIにより解析することで病害予測を実現したのがPlantectだという。

ボッシュ、AI活用した病害予測システム「Plantect」販売開始

Plantectの基本機能は以下の通り。

  • センサーによるモニタリング機能
    Plantectはハウス内環境を計測するハードウェアと、計測された数値をもとに病害発生を予測するソフトウェアで構成されているサービス。ハードウェアには、温度、湿度、日射量、二酸化炭素量を計測するセンサーが備えられており、ハウス内に設置すると、これらのデータが計測され、クラウドに送信される。ユーザーは、スマートフォンやPCなど各種デバイスからWebベースのアプリを通じてクラウド内のデータにアクセスすることができるため、いつでもどこにいてもリアルタイムでハウス内環境を確認したり、過去のデータを参照することが可能だという。
  • AIを活用した病害予測機能
    Plantectにはモニタリング機能に加え、病害の発生を予測する機能がある。モニタリング機能でクラウドに送信されたデータは、ボッシュ独自のアルゴリズムにより葉濡れなど病害発生に関わる要素が解析され、気象予報と連動し、植物病の感染リスクの通知をアプリ上に表示する。ボッシュは、2017年にこれまでAIの研究に取り組んできた組織を集約させた研究センターを新設した。このセンターは、AIの専門知識の強化を目的としており、今後2021年までに3億ユーロを投資して研究開発を拡大させる予定としている。

    Plantectでは、100棟以上のハウスのデータとAIの技術を用いて病害予測アルゴリズムを開発。Plantectは、ボッシュ独自のアルゴリズムと各ハウスのモニタリングデータをもとに病害の発生を予測するため、これまでの広域での注意喚起と異なり、各ユーザー向けにカスタマイズされた病害予測を可能にしたという。過去データの検証では92%の予測精度を記録しているとしている。

Plantectの特徴は以下の通り。

  • ワイヤレス対応
    Plantectは、通信方式に省電力などの特性を考慮し、長距離無線通信(LoRa)を採用している。また、バッテリー駆動のため、電源コンセントや通信ケーブルなどの配線を含めた初期設置のための施工を考慮することなく、ハウス内のどこにでもワイヤレスで簡単に設置することが可能。バッテリーは、市販のアルカリ電池で約1年稼動可能。ボッシュ、AI活用した病害予測システム「Plantect」販売開始
  • リーズナブルな運用コスト
    Plantectの初期費用は無料で、月額の使用料金のみでサービスを利用できる。基本機能であるモニタリング機能と病害予測機能、それぞれにサービスの月額使用料が設定されている。
  • 使いやすいユーザーインターフェース
    統一されたわかりやすいデザインを実装し、ユーザーがモニタリングしたいデータを大きく表示し、さらに詳細情報を取得する場合は、タップをするだけで確認することが可能。コンピューターやスマートフォンに不慣れな方でも、直観的な操作でハウス内の環境を簡単に確認できる。ボッシュ、AI活用した病害予測システム「Plantect」販売開始

現在Plantectの病害予測機能は、ハウス栽培のトマトに限られているが、今後イチゴ、きゅうりまたは花卉など他の農作物への展開、また、日本以外のハウス栽培市場で高い可能性を持つ国での販売を計画しているという。

【関連リンク】
ボッシュ(Bosch)

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