2019年10月23日~25日まで幕張メッセにてJAPAN IT WEEK秋が開催された。
今回から組み込みシステム開発技術展とソフトウェア、アプリ開発展が新設され、従来からのクラウドコンピューティングEXPOや情報セキリティEXPOなど、ITの要素技術からネットワークインフラ、セキュリティ、アプリケーションまで網羅することができる、大規模な展示会である。
今回は、市場が活発になってきているエッジAIに関する展示を中心にお届けする。
ギリア ─DEEPstation
DEEPstationはギリアが開発した深層学習専用のPCおよび開発用ソフトウェアとなる。
深層学習における代表的なアルゴリズムを4種類(画像分類、画像生成、ペア画像生成、物体検出)プリセットされており、ユーザーは画像データをDEEPstationに取込むだけで、AIの学習モデルを簡単に生成することができる。
特徴としては、マウス操作のみで学習モデルの構築が出来る、といった非常に高いユーザビリティで、(チューニングなどしなければ)画像を取込み、アルゴリズムを選択すれば、学習モデルが生成される。
また、エントリーモデルでは、ローエンドモデルは1台で181,500円となり、安価に導入することができる。
クラウドサービスと比較すると、オンプレミスでの運用となるため、学習モデル構築の際に、画像データをクラウドに送信する必要がない。このため、個人や工場設備の情報など、クラウドにデータ送信することを懸念しているユーザーには向いていると言える。
また、PC本体は買切りとなるため、利用量に伴う従量課金は発生しない。
三信電気 ─Toybrick
三信電気が提供するToybrickは、Rockchip社製USBスティックタイプのAIアクセラレータである。
例えばPC上で、ディープラーニングを用いた画像認識などのアプリケーションを動作させる場合、計算処理をToybrickにオフロードすることが出来る。
1本のスティックで3TOPsの処理性能を誇る。
ToybrickにはNPU(neural network processing unit)が搭載されており、そのほかにARMコアが計6個(Cortex-A72 Dual、Cortex-A53 Quad)とVPUが搭載されている。ARM Maliも搭載されているが、主な演算はRockchipが開発したNPU上で処理されているという。
特徴としてはスケーラビリティで、ハードウェアリソースのバランシング(任意のスティックにどう仕事を割り振るか)はユーザーが作り込む必要はあるものの、例えばAIを実行するデバイスにおいて、AI処理のリソースが不足している場合など、USBのインターフェイスさえあれば、Toybrickを追加することで、容易にAIアクセラレータのリソースを増やすことが出来る。
展示会では、カメラの動画データをPCに送信し、PCは受け取ったデータに手を加えず、USBポートで接続されたToybrickに渡している。動画データを受取ったToybrickは、動画データから人を検知し、枠表示の情報と合わせてPCにデータを返す。PCはToybrickから受取った加工済みのデータに手を加えず、接続されたディスプレイに動画データを表示する。
つまりは、PC上でAIにかかる何らの演算をせず、データの仲介役として存在し、AIにかかる演算は、全てToybrick上で実行している。
REGULUS ─インテリジェントカメラ
参考:REGULUS社ホームページ
REGULUSは高度な画像処理ライブラリや、センサーモジュールならびにAIカメラまで、ソフトウェアIPならびにハードウェアを提供する技術カンパニーである。
展示では、半天球全方位カメラのデモを行なっていた。
当該カメラにはFPGAベンダー最大手となるザイリンクス製FPGA SoCが搭載されており、ディープラーニングで学習済みのモデルをインストールすることで、カメラ上で人物検知など、高度なAI機能を利用することができる。
動画データをクラウドやサーバーに送信する必要が無く、カメラ上でリアルタイムに演算されるため、例えばフォークリフトなどの視覚に作業者が侵入した場合、即座に人を検知することが出来、アラートをあげるなど事故防止につながる。
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