2019年6月に、金融庁の報告書が話題になった。「老後資金が2000万円足りなくなる」という内容だ。
詳細はさておき、この報告書が話題になったため、若い世代でも将来を見据えた投資を検討する人が増えていると言われている。
しかし、投資の判断を合理的に行うのは難しい。情報の偏りがあったりバイアスがかかった判断をしたりしてしまうためだ。
そこで注目されているのが、AIを用いた資産運用やアドバイスを受けるサービスだ。
本記事では、投資にどのようにAIが使われているのか、そのメリットやデメリットは何なのかを紹介する。
AIによる投資とは
投資の取引を自動化する取り組みは過去から行われてきた。
1900年代頃から、ファンドマネージャーが自分のロジックに従い、有望な銘柄と数量を選択した上で、売買の発注を自動化していた。これをアルゴリズム取引と呼ぶ。
ロジックに従い、取引のみを高速で行う必要があったため、24時間休まずに働くコンピュータに適した作業だった。
一方で、AIによる分析をもとに投資の判断を自動化するサービスが近年登場している。
過去のデータを分析し、相場の流れや最適な運用商品を決定することができる。
前述の自動化と異なる点は、データをもとに判断を自動で行う点だ。
AIによる投資は、大きく分けると次の2つになる。
アドバイス型
AIが分析した結果をもとに、資産運用に関するアドバイスを行う。
買い付けやリバランス(金融資産の配分比率を見直す事)は自分で行う必要があり、AIのアドバイスを無視もできる。
投資に関する知識があり、自分で投資方法を決めたい人に向いている。
投資一任型
AIが行った投資判断をもとに、買い付けやリバランスまで行う。
手間をかけずに投資をしたい人に向いている。
しかし、元本保証などはないため、当たらなかった場合もAIが責任を取ってくれるわけではない。
AIによる投資のメリットやデメリット
メリット
メリットは以下のようなものがあげられる。
- 投資に関する知識がなくても始められる
- 時間がない人も投資を行うことができる
- 感情やバイアスを排除した投資ができる
投資に関する知識がなくても始められる
AIが分析から判断まで行うため、投資に関する知識がなくても、投資を始めることができる。
世界中の取引におけるAIの投資の比率が高くなると、トレンドに乗りやすく、勝率が高くなる可能性がある。
デメリット
デメリットは以下のようなものがあげられる。
- 専門的な知識が身につかない
- 投機的な判断ができない
- 突発的な変化に対応できない
突発的な変化に対応できない
AIによる投資は、過去のデータを分析することで判断を行う。
そのため、リーマンショックのような過去に例がないような出来事や、新たなサービスを生み出すスタートアップへの判断には向いていない。
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大学卒業後、メーカーに勤務。生産技術職として新規ラインの立ち上げや、工場内のカイゼン業務に携わる。2019年7月に入社し、製造業を中心としたIoTの可能性について探求中。