昨今、人口減少や高齢化が加速する中、生産性の向上や人手不足の解消は全産業で重要な課題となっている。建設業界でも、国土交通省が推進しているi-Constructionの下、ICT活用による建設現場の生産性向上が進められている。自動運転技術の進展によって、建機の自動化も期待されているが、特殊で多様な用途・環境で稼働する建機は、一般的な車両に比べて挙動が複雑で操作難易度が高く、操作実験や分析に多大な労力と時間がかかることが、自動化への壁となっている。
このような中、株式会社電通国際情報サービス(以下、ISID)と株式会社アラヤは、これまで、様々な産業分野でAIの応用研究に共同で取り組んできたがAIの要素技術である深層強化学習や模倣学習を活用した、建機の自動化開発支援サービスで業務提携して、本日からサービスの提供を開始した。
深層強化学習は、機械学習の手法の1つで、与えられた状況に応じて「どのような行動を取ると最も良いか」を試行錯誤し、環境に適した高度な行動選択を学習する。また、模倣学習とは、強化学習と同様に、環境に適した行動選択を学習する機械学習の手法の1つで、模倣学習は熟練者の行動選択の結果をベースに学習を行う。
今回提供開始した同サービスは、自動化開発に取り組む建機メーカーを対象に、機械操作の高速シミュレーターである「Vortex Studio」を実行環境として、ライセンス提供、導入支援に加え、熟練者の動きを自ら学習するAIアルゴリズムの開発・実装を一連のサービスとして提供する。Vortex Studioを強化学習アルゴリズムの開発キットであるOpenAI Gymのインターフェースに対応させることで、深層強化学習・模倣学習のプロセスを実行することを可能とした。これにより、操作自動化に向けた実験と分析業務の効率化に貢献する。
同サービスの主な構成は以下の通り。
- 機械学習適用テーマの選定と適用手法の策定
- 機械学習の実行環境設計および構築
- 対象とする機械のVortexシミュレーターモデルおよび検証シーンデータの作成
- 自律エージェント(最適な行動を取る人工知能)の生成
- 自律エージェントの動作分析と実務へのフィードバック
- 実機械実装への適用検討
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