エコモット株式会社と若築建設株式会社は、クレーンカメラの映像を取り込み、リアルタイムに画像解析を行うことによって、クレーン直下の作業員の存在をクレーン操作者に知らせるシステムを共同開発した。
同システムはすでにクレーンに設置されているカメラ映像を、端末でAI解析処理を行う「エッジAIデバイス」に取り込むことで、ディープラーニングを活用したリアルタイム画像解析の対象とすることのできる機器構成を特徴としている。この特徴を活かすことで、ユーザーは新規カメラや、警戒システムのための非接触型センサーなどの導入が不要となり、クレーン作業の安全対策にかかるコストを削減することができる。
同システムで用いるディープラーニングを利用した画像認識アルゴリズムは、様々な現場から収集した100万以上の映像を教師データとして活用することで構築されており、俯瞰視点から捉えた人間の特徴を識別する。この識別処理はクラウド等のネットワークとの通信を利用せず、現地のクレーンに設置するトランク型制御ボックスに収められた「エッジAIデバイス」上でリアルタイムに行われる。
ディープラーニングにより得られた識別は、ヘルメットの有無や作業服の色といった特定のパターン条件を認識するパターンマッチングタイプのシステムに比べて、季節や日照条件による映像内コントラストの変化やクレーンの高低差、レンズの歪曲収差など外的要因の影響を受けにくいことが特徴である。夏場など地表面の反射強度が強い場合や、逆に天候不良時の光量不足により発生するノイズなど、通常では精度が大幅に低下する条件下においても、強化学習を行うことにより対応が可能だという。
同システムは、若築建設が施工する複数の現場でのPoCを終えており、今後は若築建設の現場で使用する移動式クレーンへ装着し、このシステムを用いて、モニタ上の警告表示および警告音を発することでクレーン操縦者に注意喚起を行い、安全性の向上を図るとしている。
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大学卒業後、メーカーに勤務。生産技術職として新規ラインの立ち上げや、工場内のカイゼン業務に携わる。2019年7月に入社し、製造業を中心としたIoTの可能性について探求中。