NTTグループのAI技術「corevo™(コレボ)」によるコラボレーションを展開

NTTグループは、「社会的課題の克服」や「産業競争力の強化」といったテーマに取り組むにあたり、さまざまなプレイヤーとのコラボレーションを推進している。

このようなコラボレーションをAI(人工知能)分野で、グループ一体となってさらに加速するため、R&Dで培ったAI関連技術群を活用した取り組みを新たなブランドネーム「corevo(コレボ)」に統一。

「corevo」には、さまざまなプレイヤーの皆様とのコラボレーションを通じて、一緒に革新を起こす(co-revolution)との思いが込められている。

「corevo」が提供する技術は、人の活動の一部を代替、支援し、あるいは人の能力を補完し、引き出すためのAI技術。今後、NTTグループ各社は「corevo」を横断的に活用することで、コラボレーションパートナーや自治体と共に新たな価値の創造をめざすという。

 

「corevo」が提供する技術

AI関連分野を支えるこれまでの研究開発

NTT R&Dでは、急速に注目を集めるようになったAI技術においても、日本語を中心として、さまざまな解析や音声音響処理等の分野で成果を創出してきた。その一部技術については以下のとおり。

国際技術評価で世界1位の精度を達成した音声認識技術

NTTが独自開発した、ひずみなし音声強調技術とディープラーニング(深層学習)に基づく音声認識の新技術によって、2015年開催の技術評価国際イベント「CHiME-3」において、参加25機関中トップの精度を達成している。[注1]

40年以上の研究蓄積を背景とした自然言語処理、知識処理技術

国立情報学研究所の人工知能プロジェクト「ロボットは東大に入れるか」に、常識からの推論を必要としコンピュータが最も苦手とする英語担当として参画し、NTTの持つ自然言語処理、知識処理技術を駆使することで、2014年に初挑戦のセンター模試では受験者の平均点を越える好成績を達成している。[注2]

我が国の優れたコンテンツ技術として選出された人間の感覚情報処理研究

NTTは長年人間の感覚情報処理の研究に取り組んできており、その過程で開発した、「指でつまむと引っ張られる感覚:ぶるなび3」および、「変幻灯」は、「我が国の優れたコンテンツ技術」として、経済産業省より、Innovative Technologies 2014, 2015にそれぞれ選出されている。[注3]

[注1]公共エリア雑音下でのモバイル音声認識の国際技術評価で、世界1位の精度を達成
[注2]国立情報学研究所の人工知能プロジェクト「ロボットは東大に入れるか」に英語担当として参画し、初挑戦のセンター模試で好成績を達成!
[注3]Innovative Technologies 2014 / Innovative Technologies 2015

 

これまでの研究成果をふまえた「corevo」を構成する4種のAI

NTT R&Dでは、「corevo」を構成するAI関連の要素技術を技術開発するにあたり、通信キャリアとしての強みを活かした4種類の方向性を以下のAIとして位置づけて取り組んでいる。

『Agent-AI』

コンタクトセンターや高齢者支援などで活躍する人間の意図や感情を理解するAI

『Heart-Touching-AI』

スポーツの上達やメンタルウェネス向上などを支援し人間らしさの本質にせまるAI

『Ambient-AI』

ヘルスケアや交通制御などの中核にあり、IoTの頭脳としてセンサの知能化を司るAI

『Network-AI』

地球規模の全体最適化など巨大システムを超分散リアルタイム処理で支えるAI

 

今後の4種のAI実現に向けた「corevo」拡充への取り組み

「corevo」を構成する4種のAIを実現するために、これまでNTT R&Dで取り組んできた技術群※に加え「corevo」の基盤となるキー技術の研究開発に取り組んでいく。

「corevo」には、NTTグループの技術群に加え、外部の最新技術も積極的に取り入れていくという。例えば、実空間からあらゆる属性の「人」を即座に見つけ出す技術の実現を目指し、PFN社の最新ディープラーニング技術[注4]を活用しつつ、その検知精度や処理性能の向上に取り組んでいる。

Agent-AI ロボットに代表される擬人化されたエージェントが音声・言語・画像等のメディアを通じて人や人を取り巻く状況を理解し、人の表情や身振り手振り 等も加えたマルチモーダルインタラクションをこなし、多言語を自在に操り、膨大な知識に基づいて推論することで人との高度な「対話」を実現することを目指 している。
Heart-Touching-AI 脳科学の研究を通じて人そのものの認知の仕組みを理解することに力を入れている。知能だけでなく、知性・本能・身体といった人にとって不可分かつ根源的な部分を理解し、人に働きかけ、拡張していくAIを目指している。
また、スポーツ・芸術などの分野で、プロだけが持つとされていた感覚やひらめきを誰もが体験できるようになる。
Ambient-AI センサによるリアルタイムな計測情報に加え、インターネット上の情報と組み合わせ、近未来の「いつ」「どこで」「何が」起こるかを予測する。 学習型シミュレーションを用いた最適シナリオの立案や先行的な制御の実現を目指し、イベント会場での人流誘導などの適用を想定した時空間多次元集合データ 解析技術の研究開発に取り組んでいる。
Network-AI インフラとしてのネットワークをAIの視点から見直すことで、まったく新しい社会システムを構築できると考え、すでにAI技術の適用によるネッ トワーク故障の早期予兆検知、運用自動化、トラフィック予測などに取り組んでいる。その先には、複数のAIが有機的につながり成長し、社会システム全体を最適化することを目指している。

[注4]PFN社(株式会社Preferred Networks)とNTTは、2014年10月に資本・業務提携を行い次世代ビッグデータ技術の開発を進めている。同開発では、PFN社のディープラーニング技術DIMo(Deep Intelligence in Motion)を活用。

2016年6月2日(木)・3日(金)開催のNTTコミュニケーション科学基礎研究所「オープンハウス2016」においても、「corevo」につながる技術が展示される。

 

「corevo」を活用したNTTグループの取り組み

「corevo」をきっかけとしたコラボレーションの促進

NTTグループは、「corevo」を活用した取り組みを通じて、IoT・ビッグデータ時代の「社会的課題の克服」や「産業競争力の強化」といったテーマに取り組むことで「安心・安全で豊かな社会の実現」をめざすという。

 

「corevo」活用によるNTTグループ一体的な取り組み

  • NTTグループ各社では、「corevo」を活用したさまざまシーン・分野への展開を海外グループ会社と共にグローバルな活動として取り組む。
  • ビジネス分野では、「審査・分析・監視等のミドル・バックオフィス業務」や「窓口対応・コールセンタ等のフロントオフィス業務」など業務の代替・支援による効率的なコストコントロールを実現するソリューションの提供などに取り組む。
  • 交通分野では、「交通等の社会インフラ」への適用をターゲットとして事故のない安心・安全な交通制御を実現する活動に取り組む。
  • インフラ分野では、ネットワークシステムオペレーションへのAI技術適用によって、メンテナンスフリーによるオペレーション効率の向上に取り組む。
  • ヘルスケア分野では、多様なセンサーやコミュニケーションロボットによる自然な音声対話やインタラクションをAIによる高度化で下支えし、超少子高齢化社会を背景とした健康寿命の延長に向けて取り組む。
  • ライフサポート分野では、自然な音声対話によりコミュニケーションの円滑化を実現するサービスの提供に取り組むとともに、ソーシャルメディア等のプラットフォームへのAI技術適用によって、顧客の状況に応じた適切なコンテンツ提供に取り組む。

 

「corevo」活用の事例

「corevo」を活用した取り組みの一環として既に取り組んでいる事例の一部を紹介。

ビジネス分野

ディープラーニングによる音声認識技術、知識QA技術、非構造コンテンツエンリッチ技術等の『Agent-AI』を活用し、「審査・分析・監視 等のミドル・バックオフィス業務」や「窓口対応・コールセンタ等のフロントオフィス業務」において、「金融分野における法人審査の高度化」や、「顧客対応 スタッフのサービス品質向上」等の実現に取り組んでいる。
また、クラウド対応型インタラクション制御技術「R-env:連舞™」やディープラーニング音声認識技術等の『Agent-AI』を活用し、ヴイストン社のSota™をはじめとする各種コミュニケーションロボットや、各種センサ・ディバイスの柔軟な連携を実現するNTTデータの「クラウド・ロボティクス 基盤」を高度化することで、金融、小売等の店舗における顧客対応支援をはじめ、ヘルスケア分野やエンターテインメント分野における高度なコミュニケーショ ンサービス等についても提供していく。
(株)NTTデータ
ディープラーニング等を含む『Ambient-AI』を活用し、「物を置く」「きょろきょろする」などの不審者の動作検出や複数カメラに映る同 一人物の推定などの実証実験を行い、高い精度での検出に成功した。このような実績を踏まえ、防犯対策やマーケティングをはじめとする様々な用途に最適 な映像解析サービスの提供を検討している。
また、人間の自然な言葉を高い精度で解析する『Agent-AI』を活用した対話業務支援サービス「Virtual Assistant(仮称)」を、日本語・英語の2言語で提供開始する予定。同サービスは、企業のコンタクトセンターや店頭における問い合わせ対応業 務や販売業務などの一部を、クラウド上のAIが実現するもの。AIは24時間稼動でき、多数の顧客にも対応が可能。このため、人手のかかる顧客対応時間を削減することができ、別業務への人材シフトを可能にする。
なお、同じく顧客接点における例として、金融機関における営業活動の支援にAIを活用するための取り組みを始めている。具体的には、顧客との会話内容からAIが知識支援を行う実証を進めていく。
NTT Comは、自社の強みであるクラウド環境上に蓄積したビッグデータを学習データとして活用することで、AIエンジンの高度化を加速度的に実現できると考えている。
NTTコミュニケーションズ(株)

交通分野

『Ambient-AI』とNTTデータの大規模・リアルタイムな予測技術「マルチエージェントシミュレータ」を活用し、「交通インフラの大規模リアルタイム最適制御」等の各種社会インフラへのAI適用に取り組んでいる。 (株)NTTデータ

インフラ分野

ネットワークシステムのオペレーションビジネスに取り組んでいる。自社のオペレーション業務に加え、ディープラーニングを活用した「人間の感性に近い判定が可能な画像識別システム」等によるインターネット上の画像監視オペレーションの支援をはじめとした顧客のシステムのオペレーション支援ビジネスにcorevoを活用して取り組んでいく。 エヌ・ティ・ティ・コムウェア(株)

ヘルスケア分野

『Ambient-AI』の「センサーデータ分析判定技術」と東レ(株)の着るだけで生体情報を取得できる機能素材hitoe™を活用し、高齢 者の自立生活を支援する見守りサービス、働く人のストレス計測、スポーツにおける身体の使い方の可視化等、ヘルスケアを中心にした各種生体情報の活用サー ビスの実現に取り組んでいる。 (株)NTTデータ

ライフサポート分野

音声対話型サービスの開発を促進する「自然対話プラットフォーム」を活用し、パートナー企業との協創を通じて、「OHaNAS」をはじめとする新たなサービス提供に取り組んでいる。直近では、「すららネット社」提供のクラウド型学習システム「AIサポーター」や、「インターメディアプランニング社」提供の自動で対話を行うロボットが簡単に作れる「Repl-AI(レプルエーアイ)」の共同開発を行っている。
今後は、「自然対話プラットフォーム」の更なる機能拡充を追求するとともに、自然な音声対話が重視されるIoT分野においても利用拡大を目指していく。
(株)NTTドコモ
ポータルサイト「goo」が提供するQAサービス「教えて!goo」において、「悩み」「恋愛」等の「人生相談」にAIが最適なアドバイスをするサービスの開発を行っている。
1997年の「goo」提供開始以来蓄積してきたインターネット関連技術やノウハウと、「corevo」を活用し、AIに関する独自技術を開発した。これより対象コンテンツのジャンルに応じてディープラーニングの精度を上げることが可能となり、実サービスに適用されることは新しい取り組みだ。今後も、相談者の現状や属性、背景に対するAIの理解の精度をさらに高めていくことにチャレンジしていく。
エヌ・ティ・ティ レゾナント(株)

 

【関連リンク】
NTT
PFN(Preferred Networks inc.)
NTTデータ(NTT DATA)
ヴイストン(Vstone)
NTTコミュニケーションズ(NTT Communications)
NTTコムウェア(NTT COMWARE)
東レ(TORAY)
NTTドコモ(NTT docomo)
すららネット(SuRaLa Net)
インターメディアプランニング(IPI)
NTTレゾナント(NTT Resonant)

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