ソニーはディープラーニング(深層学習)のプログラムを生成できる統合開発環境「コンソールソフトウェア:Neural Network Console」のクラウドサービスをオープンベータ版として、本日より無償提供すると発表した。
本年6月にオープンソース化したディープラーニング開発のためのコアライブラリ「Neural Network Libraries」に続き、同年8月に無償提供を開始したコンソールソフトウェア「Neural Network Console」は、Windows OSのみの対応だった。
一方、今回提供するクラウドサービスでは、ネットワーク接続環境下においてウェブブラウザーでアクセスすることにより、オペレーティングシステムにとらわれることなく、Mac OSやLinux OSでも利用可能になる。
プログラムエンジニアやデザイナーは、プログラムのPCへのインストール作業をせず、ウェブブラウザーでアクセスするだけでGUIを持つディープラーニング統合開発環境であるコンソールソフトウェアを利用できる。
そして、直感的なユーザーインターフェースでニューラルネットワークの設計、学習、評価などを行いながらディープラーニングのプログラムを開発し、各種製品やサービスに搭載できるようになるということだ。
なお、クラウドサービスはより高速な学習の実行や、複数のプロジェクトの学習を同時に進行させたいユーザーに向けて、複数のGPUを用いた高速演算が可能な機能等も今後有償で導入予定だという。
ディープラーニングのプログラム開発ではニューラルネットワークの設計作業が重要となる。
開発者は画像認識や音声認識などに応じて最適なニューラルネットワークを構築し、性能向上へ試行錯誤を繰り返して、ニューラルネットワークを最適化した後、製品・サービスに搭載することになる。
現在、一般的なディープラーニングのプログラム生成においては、ニューラルネットワークの構造を、プログラムのコードを記述してその関数ブロックを組み合わせることで構築しているが、新開発のコンソールソフトウェアではこの関数ブロックの概念をそのままに、簡便な形でGUI上に表現できる。
コンソールソフトウェアの画面上には、コンポーネントの形であらかじめレイヤー(関数ブロック)が用意されており、それらをGUI上に自由に配置する簡単な操作でニューラルネットワークを構築でき、プログラム開発効率を改善。またディープラーニングの初心者には、コアライブラリの機能を視覚的に確認しながら短期間で技能の習得が可能だ。
コンソールソフトウェア「Neural Network Console」クラウドサービスの主な特長は以下の通りだ。なお無償のオープンベータ版は、1アカウントあたり10時間のCPU学習、10GBのストレージ、10のプロジェクトという制約がある。
- 専用アプリケーションのインストールは不要:ウェブアプリケーションのため、サービスにログインするだけで常に最新の機能を利用可能。
- 様々な環境から利用が可能:Windows OSベースのNeural Network Consoleとは異なり、ネットワーク接続された環境下においてWindows OSに加え、Max OSやLinux OSなど様々なOSでの利用が可能。
- 優れたポータビリティ:クラウド上で学習した結果は、ダウンロードしてNeural Network Librariesで実行できる。Windows版のNeural Network Consoleとのプロジェクトのやり取りにも対応。
なお、Neural Network ConsoleのベースとなるNeural Network Librariesを用いた学習および認識機は、エンタテインメントロボット“aibo”(アイボ)「ERS-1000」にも採用されており、鼻先の魚眼レンズによる画像認識の人物判定から顔トラッキング、チャージステーションの認識、一般物体認識などを実現している。
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技術・科学系ライター。修士(応用化学)。石油メーカー勤務を経て、2017年よりライターとして活動。科学雑誌などにも寄稿している。