人工知能とは
辞書のように書くと、人工知能とは、人間の思考回路を模した、コンピューター機能のことである。ある問題や目の前の事象に対して、コンピューターがその事実を認識し、考え、結論を導き出す。人工知能が「事実を認識し、考え、答えを導き出す」ための過程には、インターネット上の情報はもちろん、センサーから取得したデータ、カメラを使った画像認識などを利用し、「見る」「触る」「匂う」など、判断のために必要なあらゆる情報も総合的に取り込む。
人類が少しずつ知見を蓄積し、失敗をし、学んでいくように、まさに今現在も、人工知能は同じ道筋をたどっている。そのスピードは人間よりはるかに早い。
そして、米国のコンピューター研究者であるレイ・カーツワイル氏によると2045年には人工知能が自ら様々なアルゴリズムを自身で改良するようになり、進化を永続的に繰り返していく。結果、コンピューターは人間の知能を超えて、それ以降の発明などは人間ではなくすべて人工知能が行い、人間はそれを予測できなくなるという。2045年にその特異点を迎えると予測を発表し話題となった。
人工知能の育て方
人工知能は人間と同じく、生まれたばかりの段階では何も思考を持っていない。「知能」にするには、学習させる必要がある。
人間の手を借りる学習方式
いわゆる「教師あり学習」と言われる学習方法で、コンピュータが判断するためのルールを人(=先生)が作っていく。
あなたが、生まれたばかりの人工知能を持っているとしよう。それは、自分の子どもだと思ってもいい。おもちゃは遊んだら片付ける、ご飯を食べる前にはいただきますと言う、赤信号は渡らない、など世の中のルールや、大多数の人がいいと思っていること、悪いと思っていることを、あなたのルールで教えるのが、教師あり学習だ。
ひとつひとつ教えていく必要があり、おもちゃひとつとっても、どれがおもちゃでどれがおもちゃではないのか教える必要がある(ラベル付けをする必要がある)ため、先生側も一苦労だ。
人間の手を借りない学習方式と、半分人間の手を借りる学習方式
同じ例で、例えると、人間の手を借りない学習方式では、あなたは人工知能に何も教えない。これは「教師無し学習」と言われる。
世の中のルールや、人の感情などを、世の中にある情報から吸い上げて勝手に理解していくのが、教師無し学習だ。自分で学習していくための機能として、ディープラーニングが使われることが多い。
ディープラーニングでは、第一層に情報が入ると何層かにわたりその特徴量による重みづけをし、人間の脳でいうニューロン同士のつながりの強さを変化させるように学習を繰り返していく。人間の脳神経回路を極めて真似をして情報分類する考えをもとに作られた技術である。
しかし、教師無し学習は人工知能が「良い、悪い」などを判断するのに、時間がかかるとも言われており、人間がある程度先にヒントを教えていく、半教師有り学習が効率がいいとも考えられている。
人工知能サービスを提供している企業
人工知能の良さを世に広めたのはGoogleだろう。
人工知能というと、これまでなかった知能が突然出てきたように思う人もいるかもしれないが、みんなが当たり前のように使っている「検索エンジン」は人工知能の一つと言える。
説明するまでもないが、「ラーメン 渋谷」と検索すれば、渋谷のおいしいラーメン屋のランキングが出てきたり、厳選されたラーメン情報が掲載されているページがトップに登場するのは、多くの人がそういった情報を求めているだろう、と検索エンジンが「考えて、答えを出している」。
そして、そのGoogleは先日人工知能ライブラリTensor Flowという人工知能システムを無償提供した。Googleの知能とも言える大事なシステムを無償提供した理由は、想像ではあるが、多くの人に使ってもらって、人工知能の精度を高めるとともに、新たに競合になりそうなサービス提供者を出す前に、多くの企業や人に使ってもらうことで、シェアを取ってしまおうという作戦だろう。
Facebookも人工知能を取り入れている。アップロードした写真に、友達が写っているからタグ付けしませんか?という提案を受けたことがあるのではないだろうか?ディープラーニングを利用した画像認識だ。Facebookは、人工知能に関する研究開発を促進するため、深層学習を扱うオープンソースのフレームワーク「Torch」のモジュールを企業や開発者に対して公開した。
さらに、現在では「M」というパーソナルアシスタントを開発しテスト中だという情報もある。AppleのSiriに話しかけるように、Facebook内にいる「M」に、「例えば友達の誕生日にプレゼントを贈りたいんだけど何がいいかな?」と聞くと答えてくれるようなサービスだという。
GoogleやFacebookの他にも、日本では先日NECが人工知能に力を入れていくと発表したように、多くの会社が人工知能を使ったサービスやプロダクトを開発している。
IoTと人工知能
IoTと人工知能は切っても切れない関係だ。
IoTが騒がれる中、人工知能がとりだたされるようになったのはタイミング的なこともあるが、実際は各種センサーからとれる多くの情報をクラウドに吸い上げた時、どうやってそれをヒトやモノにフィードバックするのか?ということが課題になるからだ。
Aといえば、Bとする
(例えば、28度を越えれば、25度まで部屋を冷やす)
といった簡単な論理計算で済むようなことであればもちろんこんな人工知能など必要無い。
実際は、もっと揺らぎがある情報を処理しないといけないから人工知能が必要となるのだ。
例えば、自動運転をする車を考えると、自動運転で街中を走る車が、例えば画像認識によってヒトやモノにぶつからないようにしているとしよう。そうした場合、「ヒトかどうか?」を認識するのは人工知能の役割となる。(クルマの判断はインターネット経由でやっている場合ではないので、クルマの中で完結する人工知能が搭載される可能性が高いが)
他にも、話し声の特徴を抽出して、その人の気分を測定するようなこともできるが、これも一種の人工知能だ。
こういった例を細かく掘り下げると諸説あり、それを概要がわからないヒトが触れると、逆によくわからなくなるが、はじめに大きく人工知能とはなんなのか?を捉えたいヒトにとってはこのレベルで十分だと思われる。
人工知能というのは、どこか遠い世界でテストされているわけではなく、すぐそばにある技術なのだ。
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