CES2018にて、フォルクスワーゲンとNVIDIAは、AIのソフトウェア開発キット「NVIDIA DRIVE IXプラットフォーム」を利用し、ディープラーニングを活用した次世代自動車の開発を進めるビジョンを発表した。
「数年もすれば、すべての新車には、拡張現実に加えて、音声、ジェスチャー、顔認識のためにAIアシスタントの搭載が求められるようになります。そして、VolkswagenとNVIDIA DRIVE IXテクノロジの連携によって、これが実現します。VolkswagenはNVIDIAと共に、これまでのいかなる自動車よりも安全で、運転が楽しく、誰もが利用できる新世代の自動車を構築します。」
CES2018の開催に先立ち、7日に行われたプレスカンファレンスにて、NVIDIAの創業者兼CEOであるジェンスン・フアン氏はこのように述べた。
「NVIDIA DRIVE IX Intelligent Experienceプラットフォーム」は、AIに対応したアプリケーションを作成するためのソフトウェア開発キットだ。
AIに対応したアプリケーションには、たとえば自動車のロックを自動的に開閉するための顔認識、潜在的な危険についてドライバーに警告するための周辺環境認識、ユーザー操作のためのジェスチャー認識、正確な音声制御のための自然言語認識、ドライバーのわき見運転警告のための視線追跡などがある。
フォルクスワーゲンを象徴するマイクロバス、「VW I.D. Buzz」(冒頭写真)に、「Intelligent Co-Pilot」アプリケーションを作成するため「NVIDIA DRIVE IXプラットフォーム」が利用される。
これには、自動車の内部と外部の両方から得られるセンサーデータの処理に基づく便利な支援システムが含まれる。このシステムは、ソフトウェアの更新により自動車の全ライフサイクルを通じて拡張でき、自動運転の新機能を随時アップデートできるものだ。
フォルクスワーゲンは、2025年までに電気のみを動力とする20台以上の自動車モデルを計画している。「VW I.D. Buzz」はそのなかでも、2020年から自動運転を段階的に導入する「I.D.ファミリー1」に属するモデルだ。
今回の新モデルは、同社のMEB(Modular Electric Platform、Volkswagenが電動車用に開発した次世代向けモジュラープラットフォーム)自動車アーキテクチャーに基づいている。
MEBは、排ガス ゼロ、デジタル モビリティー、電気駆動の包括的なメリットの活用を一貫して目指すものだ。シャーシにフラットに統合されるバッテリーとコンパクトな駆動システムを利用することにより、内装は柔軟にレイアウトを変更することが可能。また、ARヘッドアップディスプレーを採用する運転コンセプトなど、コンパクトな電気自動車セグメントのテクノロジを利用できる。
MEBアーキテクチャーに基づくモデルは、利用可能な各レベルの自動運転に対応。MEB電気システムは、フォルクスワーゲンのMQBアーキテクチャーに基づく従来の運転システムを備えた自動車にも、段階的に導入される予定だ。
【関連リンク】
・フォルクスワーゲン(VW)
・エヌビディア(NVIDIA)
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技術・科学系ライター。修士(応用化学)。石油メーカー勤務を経て、2017年よりライターとして活動。科学雑誌などにも寄稿している。