ドイツ、ハノーバーで開かれている、ハノーバーメッセ2018のレポート第一弾は、匠の技術をいかにAIで伝承するかというテーマについてだ。
昭和8年創業の金型製造業である株式会社IBUKI(2015年、株式会社安田製作所より名称変更)は、グループ会社である、株式会社LIGHTzと共に、射出成形機などでの成形などを対象に、品質検査時の熟練者のノウハウを言語化し教師データに教え込むことで知見や思考様式を活用する仕組みを展示した。
今回のデモでは、自動車の塗装ラインなどについて、表面の塗装状態を画像認識技術により、不具合があるかどうかをAIで認識している。これだけであれば以前からできたのだが、これを「データtoテキスト」という技術で、不具合の内容について言語化して推測するというシステムだ。
下の図でわかるように、画像解析の結果出てくる特徴量の結果と匠の知識とを合わせて表現している。

ディープラーニングの強化学習を行う時に、与える「報酬」を言語化、熟練工が実際にAIのモデルに対して教育することで実現することができているのだという。
具体的には、熟練工に「どういうところを見ているのか」、「それについてどう思ったのか」ということを一つ一つ言語化してもらい、それをラベルとしてシステムに登録していくのだという。

応用範囲としては、他社の製造業の品質検査の工程でも、熟練工が見たい観点をシステムに盛り込んで検査することができるのだ。
例えば、プラスティックバルブの傷やバリを見つけるといったことにも応用することができる。
今後、日本独特のやり方である、「すりあわせ」と言われる職人の知見が集まっているところで活用が進むことが期待される。
関連リンク:
株式会社IBUKI
株式会社LIGHTz
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IoTNEWS代表
1973年生まれ。株式会社アールジーン代表取締役。
フジテレビ Live News α コメンテーター。J-WAVE TOKYO MORNING RADIO 記事解説。など。
大阪大学でニューロコンピューティングを学び、アクセンチュアなどのグローバルコンサルティングファームより現職。
著書に、「2時間でわかる図解IoTビジネス入門(あさ出版)」「顧客ともっとつながる(日経BP)」、YouTubeチャンネルに「小泉耕二の未来大学」がある。