マイクロソフトは、テクノロジの進化こそが、社会が直面する重要課題を解決するための強力な支援であると考えているという。
これが、マイクロソフトが昨年、気象、水資源、農業、生物多様性などの地球が直面する課題の解決に、人工知能(AI)を活用させるための総合的プログラム AI for Earth を発表した理由だ。
5月7日にシアトルで開催された 開発者会議Microsoft Buildにおいて、マイクロソフトはこのモデルを拡張したAI for Accessibility を発表した。
この 2,500 万ドル規模の 5 年間にわたるプログラムは、世界で 10 億人以上の障碍を持つ人々を支援する AI ソリューション開発のために、開発者に AI ツールを提供するものだ。
AI は障碍を持つ人の生活を改善することができる、とマイクロソフトは考えている。
障碍を持つ人々がコンピューターを活用して、驚くほど正確に聞いたり、見たり、判断したりできる例は数多くあるという。
マイクロソフトでは、リアルタイムの音声テキスト変換、視覚認識サービス、テキスト予測機能など、強力なソリューションを開発している。
このような AI の技術進化は、視覚、聴覚、認識、学習、運動などの障碍や精神健康面での問題を抱える人々が、Employment(雇用)、Modern Life(現代的生活)、Human Connection(人とのつながり) という3つのシナリオでより多くのことを達成できるよう支援する。
障碍を持つ世界中の人々の中で支援テクノロジや製品にアクセスできるのは 10 人に 1 人にすぎないという。
AI ソリューションをより広く利用可能にすることで、テクノロジがこの重要なコミュニティに対して広範な影響を与えられるとマイクロソフトは考えているという。
AI for Accessibility プログラムはこれを目的とし、マイクロソフトの Accessibility 担当チームとそのリーダーであるチーフアクセシビリティオフィサー、ジェニー レイフレリー (Jenny Lay-Flurrie)氏により推進される。
過去 3 年間におけるマイクロソフト社内の開発者やエンジニアとの協業の成功に基づき、世界中の開発者に向けて新たなツールとサポートを提供すべくミッションが拡大された。
AI for Accessibility プログラムは 3 つの方法で目的を達成するとしている。
第 1 に、開発者、非政府組織、そして発明家に対して助成金を提供すること。この助成金は、仕事、生活、人間関係の分野において障碍を抱えている人々を支援し、新たな機会を提供することにフォーカスしたAIファーストのアプローチに使用される。
次に、有望なプロジェクトが選択され、より大規模なテクノロジ投資と規模拡大のためのマイクロソフトの AI 専門家へのアクセスが提供される。
そして、第 3 に、マイクロソフトが自社の製品やサービスに AI と多様性を想定した設計を取り込んでいるように、パートナーが AI のイノベーションをプラットフォームレベルのサービスに取り込み、製品のアクセシビリティを最大化できるよう支援する。
AI がアクセシビリティのテクノロジを強化している事例が出始めている。現在、Microsoft Translator がリアルタイムキャプション機能により、聴覚障碍を持つ人々を支援している。
音声コマンドをイメージ変換するアプリケーションである Helpicto が、フランスの自閉症児が周囲の状況を理解し、他者とコミュニケーションできるよう援助している。
そして、Seeing AI と自動 alt-text 機能が、視覚障碍を持つ人々が周囲の状況を理解できるよう支援している。
マイクロソフトによると、最近の印象深い事例のひとつは、American Council of the Blind のCEOであるエリック ブリッジ(Eric Bridges) 氏だという。
ブリッジ氏はSeeing AIを日々使用しており、3歳の息子、タイラーの宿題を手伝う時にも使っていることを紹介した。
Seeing AI によりタイラーは宿題を終えることができ、わずか 2 年前には健常者の支援が必要であった父親と新たな絆を作ることができたという。
障碍は永続的であることも、一時的であることも、状況次第であることもある。
マイクロソフトは、障碍を持つ人々向けのイノベーションを行うことで、「私たちは私たちすべてに向けたイノベーションを行う」ことになるとしている。
テクノロジに広範な社会的ニーズに対応するという目的を果たさせることで、同社は、障碍を持つ人々だけではなく、すべての人がより多くのことを達成できるよう支援するという。
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・マイクロソフト(Microsoft)
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