「感覚器」の代用から「脳」へ、私たちがAIに期待すべきこと —八子知礼×小泉耕二【第8回】

産業で使われるAI、画像認識と音声認識の今

小泉: 産業向けの用途で考えると、どのような例があるでしょうか。

八子: たとえば、(AIベンチャーの)Preferred Networksがアシストしているファナックのアームロボットですね。山積みになったネジを一つ一つ仕分けていく、バラ積みピッキングと呼ばれるものです。きわめて実用的だと思います。

小泉: あれは、人間の場合には何気なくやっているように見えることですが、ロボットが行うとなると、プログラミングを組むのは気が遠くなるような作業ですね。

複雑なロジックを組むことなく、AIを使えば、(人間のように)“なんとなくつかむ”ことができるわけですよね。さきほどのお肉の話と近いような気もします。

八子: そうですね。ただ、さきほどのお肉の例よりは、ディメンションはX軸、Y軸、Z軸で、ネジの形もある程度決まっているものなので、パラメータはそこまで多くはないですね。

小泉: 画像認識は、AIの用途ではかなり有望だと言われています。(ディープラーニングの技術により)AIの画像認識の能力が人間を超えてしまったわけですから、当然だとも言えます。

ただ問題は、それを産業的にどう使っていくのかということですね。

八子: 埼玉県の(株式会社)シタラ興産は、産業廃棄物の仕分け作業にAIを使っています。

カメラや金属探知機、その他のセンサーを用い、それらのインプット情報から「これはチタン」、「これはプラスチック」というようにAIが判断し、自動で仕分けをします。これまで20人で仕分けをしていたところが、今は2人だけでできている、ということです。

感覚器代用から脳へ、私たちが期待するAIの姿 —八子知礼×小泉耕二
株式会社アールジーン代表取締役/IoTNEWS代表 小泉耕二

小泉: 音声認識についてはどうでしょうか。

八子: i Smart Technologies(旭鉄工株式会社でIoTソリューションを管轄する子会社)さんが、Amazonのアレクサを使った音声入力のしくみを、工場向けのソリューションに導入しています。

ただ、音声認識はまだ識別能力がそこまで高くはないので、ミッションクリティカルな領域にはまだ使えないのかなと思います。

あくまで翻訳や検索といった用途。観光者向けにリアルタイム翻訳をするというような、多少のタイムラグがあっても許されるような環境で使われるのが、一般的なのではないでしょうか。

次ページ:音声認識を深堀する、AIはどのように使われているのか

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