2018上半期のスマートシティのトレンド(後編)

ラスベガスのデジタル変革イニシアティブ

ラスベガス市のデジタル変革イニシアティブの一部として、NTTグループは初のスマートシティ概念実証を作成した。

Dell Technologiesとともに開発されたスマートシティソリューションはリアルタイムでデータを収集するセンサーを統合した分散型プラットホームであり、小型データセンターにデータを提供する。データセンターにて分析され、重要データを特定し、メインデータセンターに送信される仕組みだ。

治安に関するデータを収集するHDカメラやセンサーが設置される計画もあり、警察や消防などに重要な情報を提供し、緊急対応時間を短縮するという。

スマートシティネットワークはNTT社のCognitive Foundationアーキテクチャー上で開発され、Dellの超統合型インフラストラクチャーとVMWare NFVプラットホームを使い、予測分析アプリケーションを稼働している。

最初のコンセプトはラスベガス市のイノベーション区で展開される予定で、概念実証が成功したら、NTTグループはアメリカ国内の都市で導入する予定ということだ。

スウェーデンのスマート交通

スウェーデンの通信企業Telia社は新しいスマート交通と都市計画ソリューションを展開した。新ツールは個人特定を不可能にする処理されたモバイルネットワークデータを使い、移動パターンを検出し、交通計画に使える。今回展開されたサービスはTelia Finland にて2年間ほどで開発されたものである。

サービスに使用されるデータは匿名化・統合化されたものであるため、個人データや位置確定に利用できないという。欧州連合の厳しいデータ保護規則も満たされている。

Crowd insightsというソリューションを利用し、朝のラッシュアワーの通勤者数を特定できる。そのデータに基づいて、交通事業者を始め、様々な企業が交通や小売りサービスのよりいいビジネス計画を作製できるようになる。Telia社は同サービスの技術的な実効性をフィンランドのタンペレ市でテストした。

「スマート・タンペレ」プログラムの担当者は、このようなソリューションを使って、人の流れに合わせて、すべての交通ルートやスケジュールを調節できると期待している。

また、同社はスウェーデン首都で実施中のDigital Demo Stockholmイニシアティブに参画したと発表した。同イニシアティブは幅広いエコシステムによって展開されており、その中は都市政府、王立工科大学、Ericsson 、Scania、ABB、Telia社などの大規模企業が参加している。このようなエコシステムアプローチによって様々な分野のノウハウを集め、イノベーション開発や技術発展をより早くできると予測されている。同イニシアティブの最終目的は2040年までにストックホルム市を世界一スマートシティにするという。

Telia 社は、このイニシアティブの枠組で水道水質管理プロジェクトに関わっている。様々な水道水質管理手法の中、コネクテッド・センサーを使い、毒素を検知する方法も検討中だ。

スマートシティと市民の権利

スマートシティ技術が収集しているデータを使って、都市が提供しているサービスの効率性向上、治安向上や新しい利便性が生まれる。しかし、最近ソーシャルメディアで起きた個人データ使用に関する不祥事があったため、世界各国で個人データ扱いに関する懸念が強まっている。

善因のためデータ収集を行っている企業が多い中、市民データそのモノを売買したり、マーケテイング戦略や商品開発に使ったり、世論を操るために使ったりする企業もある。それの他にプライバシー侵害、不正データアクセスや不正個人追跡などが可能であるため、スマートシティ技術(特に監視技術)導入に当たって、市民権利と導入側の利益のバランスを考慮する仕組みが現われている。

アメリカのオークランド市では市内で新しい監視技術の導入が提案された場合、専用委員会から認可を取得しなければならないという立法が提案された。

技術導入をしたい局は文民主導の「プライバシー委員会」に「テクノロジー影響レポート」を提供しなければならない。同委員会の許可を取得できなかった場合、監視技術の導入が不可能になる。

隣接のバークレー市とデイビス市は監視技術使用の公式報告を義務付ける類似法律をすでに導入している。

今回の立法に関する投票が5月末で行われる予定だ。

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