世界のスマートロジスティクス、トレンドレポート

IoTの広がりは、ロジスティクスの分野でも影響がある。

倉庫を管理する上での取り組みや、物流を担うトラックなどに関する取り組みが盛んだ。

そこで、世界のスマートロジスティクスに関するレポートを行う。

シンガポールでのスマート倉庫技術

2017年、コカ・コーラ社はシンガポールで5,750万ドルを使って新しい倉庫施設を開設した。

この施設の特徴は搬入・搬出口に設置された自動ストレージと検索システムだ。この結果、スペースが効率的に使われ、一般倉庫の面積を半分しか使わないというメリットがある。

パレットの取り出しにフォークリフトを使う必要がなく、安全かつスピーディに商品にアクセスができるということだ。

シンガポールのスマートネイション戦略には、スマート物流イニシアティブも含まれている。スマート倉庫や産業施設には高い床荷重や高い電気装荷の他、光ファイバーのインフラストラクチャーが必須となる。

シンガポールのTampines物流パークでは、DHL社のサプライチェーンAdvanced Regional centreが2016年に開業した。

この施設は複数の顧客に対応できるための自動化システムを導入し、26レベル、72,000位置から130台ロボットシャトルが商品をピッキングや保管作業を行う。この仕組みのおかげで、ピッキング効率は一般倉庫より20%ほど高く、作業に必要なスペースは40%ほど少ないという。

スペースを節約できる倉庫システムは、面積が小さい国や密集市街地に特に役立つ。

また、日本の郵船ロジスティクスのシンガポール子会社はトゥアス地区で建設中の倉庫にスマート機能を導入する予定だ。スマートデータ、RFIDによる資産管理、ロボットや自動化の採用で効率化を図っている。

中国の曹妃甸(そうひてんく)市

中国の曹妃甸市の港は、2018年の年末をめどに完全自動港町に変革すると計画されている。

TuSimpleというスタートアップの20車種の自動運転トラックをドライバー在席のトラックの代わりに採用する予定だ。クレーンも自動化され、中央制御システムはクレーンやトラックの稼働を制御するという仕組みになる。

曹妃甸の港は、年間で30万TEU(20フィートコンテナ換算で、30万個分)のコンテナを処理しているが、世界最大港で行われている自動運転トラックの実証実験から見習って、早い段階で実験と導入を計画している。

中国の青島市で3年間をかけて建設された前湾コンテナターミナル(QQCTN)はアジアの初完全自動港ターミナルになった。このようなシステムの導入によって、ターミナルは完全な暗闇の中でも稼働し、労働コストの7割を削減しながら効率性を3割ほど上げたという結果をだしたという。以前60人が必要だった荷降ろし作業が、9人でできるようになった例も紹介された。

また、港は制限されている区域であり、歩行者が少なく、車両スピードが限られているため自動運転車テストにも便利なのだという。

Cainiao Networkの倉庫管理ソリューション

アリババ社の物流子会社であるCainiao Networkは年次カンファレンスで大規模の倉庫管理用スマートソリューションを紹介した。「Cainiao Future Park」というソリューションにIoT、ビッグデータ、エッジコンピューティングやAIを統合し、倉庫のデジタル化へ挑むのだという。

同社は無錫市で16万平方メートルの施設で初めて「Cainiao Future Park」を導入する予定だ。Wuxi Future Parkには倉庫以外オフィスやコンビニエンスストアもある。

Wuxi Future Parkの管理を簡略化するためパーク全体に水道、電力、温度や湿度などを管理するスマートビル技術が導入される予定だ。

また、先進的な技術を使い、倉庫の空や段積み状態をリアルタイムで管理し、パーク内の車両を空いている駐車スペースに先導するなどが想定されている。

Cainiaoが開発した倉庫自動化ソリューションはロボットアームで完全自動化されたアセンブリラインや500台ほどのAGVを導入した。AGVは荷物を台車から下ろし、仕分けや分配を行う倉庫スタッフに最短ルートで運ぶため、スタッフが一日歩く距離を5万ステップほど削減し、人員効率を3割ほどアップできたという。

さらに食料品や荷物の配達に使えるCainiao Boxというスマートロッカーもある。このロッカーの温度はアプリ上で調整が可能であり、小型冷蔵庫の代わりに配達された食べ物を適切な温度で保存する。

Cainiaoはクロスボーダー物流インフラを強化し、ドバイ、クアラルンプール、ベルギーのリエージュ、ロシアのモスクワや中国の杭州市をスマートハブにする予定を発表した。この動きは同社の72時間以内のグローバル配達目標へのステップであると考えられる。

さらに、Cainiaoのラスタマイル配達専用ロボットG Plusは時速15キロまで走行し、複数の荷物や食べ物を配達できる。LIDARを使って、ロボットは走行中に3D 地図を作成しており、歩行者に気づいたら時速10キロメートルまで速度を落とす。指定された住所に到着すると、荷物を下ろすかユーザーがPINコードを使い、荷物を受け取ることができる。G Plusは現在、アリババの本社で使用中だ。CainiaoはG plusをアップグレードし、来年末をめどに大量生産の予定を発表した。

Suning Logisticsの大規模商用配達サービス

中国のSuning Logisticsは大規模商用配達サービスを提供しており、自動運転レベル4を目指しStrolling Dragonという自動運転トラックの実証実験を行っている。

先日、同社はAGVを使った倉庫やBiouという自動化された小売店コンセプトを紹介している。

Daimler AGのEVトラック

ドイツのDaimler AGはeCascadia EVトラックを公開し、2021年までに生産開始を目指している。同トラックは18輪車であり、400キロほど走行可能であるため地域分布や港での作業やサービスに使う予定だ。Daimler社はさらに370キロほど走れる中型トラックFreightliner eM2 106を発表し、短距離ディストリビューションを目指している。

Stena Lineのコグニティブ船舶

ヨーロッパでフェリーを運営しているStena Line社は日立と提携し、同社のデジタルアーキテクチャーを調整し、AI導入によって2021年までにコグニティブ船舶会社として変革を目指している。

この取り組みでは、AI技術の分析力を使い、燃費消費を抑え、コストや環境負荷を削減する狙いだ。

他にもデジタル技術を海産業に採用する企業がある。Rolls-Royce社は自律航行船のプロジェクトに取り組んでおり、自動運転車より早い実現を予測している。また、IBM とCisco はロッテルダム港で風、視程や潮流などの環境に関する情報を収集と分析をし、停泊や渡航に最適な状況とタイミングを見極める試みを行っている。

アリババ、仏Bolloréグループと提携

アリババグループはフランスのBolloréグループとのクラウドサービス、デジタル変革、クリーンエネルギー、モビリティや物流分野に関するパートナー契約を結んだ。

独自市場の知識を共有し、アリババクラウド、Cainiao Smart Logistics Network、Bolloré Logistics やBlue Solutionsという両社のビジネスでの連携や、子会社でも関連プロジェクトで協力する予定だ。Bolloréの市場はヨーロッパとアフリカをカバーしている。

物流の分野において、Cainiao社と Bolloré社はアジア、中東、アフリカやヨーロッパにあるハブやネットワークで協力し、両社のベストプラクティスに基づきソフトウェアやデータ管理ソリューションに取り組む予定だ。

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