KDDI総合研、5Gと4G LTEを同一周波数帯内で共存させる技術を実証

株式会社KDDI総合研究所は、第5世代移動通信方式(以下、5G)と第4世代移動通信方式(以下、4G LTE)を同一周波数帯内で共存させる技術の実証実験に成功したと発表した。

同技術を使うことで、帯域分割のように既存システムの帯域を削減することなく、状況に応じ4G LTEと5Gを同一周波数帯内に柔軟に割当てることが可能になり、周波数利用効率が最大化される。

これにより周波数移行の過渡期において、どちらかのシステムにユーザが偏ることにより発生する通信品質劣化を防ぎ、ユーザの通信品質を最適化することができるという。

5Gでは低遅延・高信頼性という特性を活かし、コネクティッドカーのような広いエリアを必要とするサービスが検討されている。広いエリアがカバーできる低い周波数帯を使用するためには、現在4G LTEで使用している周波数を5Gへ移行する必要がある。

周波数移行の1つの方法として既存システム(ここでは4G LTE)の帯域を削り、新しいシステム(ここでは5G)に帯域を割り当てる方法(帯域分割)があるが、システム間でユーザ数の偏りがある場合などは周波数利用効率が悪くなり、ユーザの最大スループットが低下するなどの問題がおきるため、周波数帯域内での柔軟なシステム間の共存が必要となる。

また、4G LTEと5Gの共存は3GPP Release15で議論が行われ、共存を実現するための仕様が策定・定義されたが、その実証はされなかった。

このほど、KDDI総合研究所は3GPP Release15にて策定された仕様に基づいて4G LTE周波数帯域内に5Gを共存させることが可能であることを実証。シールドルーム内で実験システム(Rohde & Schwarz社製 SMW200A / FSW8)を使い、実際に4Gと5Gの無線を出力し、Release15で策定された仕様に基づいて4G LTEと5Gを共存させた。

しかしながら、策定された仕様の範囲内では、4G LTEの参照信号と5Gの同期信号がぶつかることにより発生する干渉が確認された。

そこで、システム間干渉の原因となる4G LTEの参照信号を抑制する手法を新たに考案し、4G LTEの既存機能であるMBSFN機能(※)を応用することでシステム間干渉を抑制可能であることを実証した。

※Multicast Broadcast Single Frequency Networkの略。3GPP Release9で策定され、1つの基地局が複数の端末と同時にデータ通信する「マルチキャスト方式」で使用するチャネル。MBSFNサブフレームは制御信号領域を除いて参照信号を止めることができる。

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