データ流通の実現が事業発展のカギ ―データ流通推進協議会 理事 杉山氏インタビュー

データ流通ビジネスとは?

杉山: そもそもデータ流通ビジネスとはなんぞや?という話ですが、企業はデータ流通の仕組みにより、自社単独では入手が難しいデータの取得が可能になります。

一方、データを保持している企業は、保有データの二次利用として販売の機会を得ることができます。自分たちに必要な使い道で使ったデータはもう必要ありませんよね。でも、そのデータを欲しい人がいるかもしれません。

現在、新サービスや製品開発へデータ活用が進められていますが、自社で保有するデータに他社データを加え、さまざまなデータを組み合わせることができれば、より競争力のあるサービスや製品の開発ができるようになります。

小泉: データはどういった種類があるのでしょうか?

杉山: 流通するデータの種類としては、大きく3つあります。属性、購買履歴、ウェアラブル機器からの生体データなどの「①個人情報を含むデータ」、個人情報を含まない「②匿名加工されたデータ」、生産現場のIoT機器データなどの「③個人に関わらないデータ」です。

詳細を見ていくと、「①個人情報を含むデータ」は例えば、おもてなしなどで使われています。今、DTAのワークショップでは、2020年に海外からきた観光客に良いサービスを提供するには、どんな企業のどんなデータがあればよいのか?といったアイディア出しをしています。

「②匿名加工されたデータ」は、個人情報保護法の改正により、一定の条件下で本人の同意なしに他の企業への提供が可能になり、市場分析によく使われるようになりました。しかし、一定数の企業は風評リスクを警戒し、その流通は足踏み段階にあります。今後、データ取引市場での取引実績の積み上げは、この流通を促進させると考えています。

「③個人に関わらないデータ」は、IoTの世界です。これらは膨大な量が生成されていますが、データは企業に囲い込まれています。これまで捨てられていた一次利用を終えた保有データのマネタイズの機会を与え、流通を促進させたいと思っています。

ここまで理想論をお話しましたが、データ流通事業者には、事業の中立性、透明性、公平性の確保が課題となります。データ提供者には、利用者が想定外のデータ利用を行う可能性への心理的抵抗感があります。

さらに技術的な問題として、過去現在のさまざまな形式のデータを整え、円滑にマッチングすることも課題となります。これらの問題を解決するために、データ流通推進協議会「DTA」が誕生しました。

データ流通推進協議会「DTA」はあらゆるデータを流通、連携させる

杉山: 内閣府が提唱するSociety 5.0(※)、経済産業省が提唱するConnected Industriesを実現するためには、日本中に点在するあらゆるデータを、企業や業界の垣根を超えて流通、連携させることが必要です。DTAはそれを実現する仕組み創りを推進しています。

※Society 5.0とは・・・IoT(Internet of Things)、ロボット、人工知能(AI)、ビッグデータ等の新たな技術をあらゆる産業や社会生活に取り入れてイノベーションを創出し、一人一人のニーズに合わせる形で社会的課題を解決する新たな社会

DTAは2017年6月、次の有志企業で立上げました。株式会社インテージ、株式会社インテック、株式会社ウフル、株式会社NTTデータ、エブリセンスジャパン株式会社、オムロン株式会社、コニカミノルタ株式会社、さくらインターネット株式会社、大日本印刷株式会社、デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム株式会社、株式会社日本データ取引所、日本電気株式会社、株式会社日立製作所、富士通株式会社、株式会社リゲイン(五十音順)。

そして、2017年11月1日に内閣官房情報通信技術(IT)総合戦略室、総務省、経済産業省の支援により一般社団法人として設立しました。また、総務省と経済産業省の連携チームの検討成果としても公表され、総務省が作成した平成30年度版情報通信白書や、経産省のオフィシャルサイトにも当協議会の説明が掲載されています。

事業概要としては、下記になります。

(1)データ流通事業者等の運用基準の策定
(2)データ流通事業者等の技術基準の策定
(3)データ流通事業者等の運用基準及び技術基準に基づく認証・監査・公表
(4)データ流通市場活性化のためのデータ利活用の創出支援
(5)データ流通市場を巡る法的課題や国際連携等に関する調査・研究
(6)データ流通市場に関連する関係省庁への政策提言及び関連団体との連携
(7)前各号に掲げるもののほか、データ流通市場の健全な成長のために必要な活動

小泉: データ流通事業者とは誰を指すのでしょうか?

杉山: データ流通を仲介する事業を実現、または今後実現しようと考える事業者です。すでに、各省庁からの依頼により、データを共有する際の課題・要望の調査及び、IT基準調査、標準化支援、海外動向調査等を推進中です。また、グローバルな審査団体や認可団体とも連携したりし、シンガポール等の海外の政府機関からの依頼により情報交換をはじめています。

2018年8月現在では、113の会員数となっています。正会員は30万円、賛助会員は10万円で、企業や個人が会員になることができます。関係省庁への政策提言活動としては、「情報信託機能の認定スキームの在り方に関する検討会」に対する意見書を提出しました。

データ流通の実現が事業発展のカギ ―データ流通推進協議会 理事 杉山氏インタビュー
株式会社アールジーン 代表取締役/IoTNEWS 代表 小泉耕二

次ページ: 成功例を出していくことが求められている

Previous

クラウディアン、「交通量自動計測機能」をAI BOXに搭載したベータ版製品を提供開始

モビルス、チャットボット学習の手間を半減させる「モビコンソール」を開発

Next