家ナカ、スマートプロダクトかくあるべし

スマートホームの動きが鈍化している。実際先日ベルリンで行われたIFAのスタートアップが集うスペース、「IFA NEXT」でも真新しいと感じるプロダクトはほとんどなかった。

しかし、依然としてデジタルの力を借りることで、我々の生活がより一層快適になる可能性に期待がかかっている。

現在、世界ではどういうプロダクトが登場しているのだろうか。新しく登場したプロダクトの多く、まだ我々の生活の中には入ってきていないが、ブラッシュアップされ、様々なニーズを捉えようという動きを見せている。

例えば、バスルーム。これまで湯船にお湯を張るくらいしか技術は活用されてこなかったが、徐々にプロダクトが登場し出している。

例えば、シャンプーをしている時、周りが見えていないため、音声でシャワーのオン・オフができれば便利だと思う人はいるだろう。

鏡の前に立つと、多くの人はなんらかの作業を始める。髪を乾かす人もいれば、化粧をする人もいる。そういった作業をする際、両手が塞がっていたり、濡れていたりすることが多いことから、バスルーム周りのデバイスに対する、音声での指示は便利だといえる。

しかし、単に便利というだけであれば、正直「手で操作すればよい」と思うものだろう。これらの利便性は、生活の様々なシーンで音声応答が活用され出して初めてありがたみを感じることができるのだ。

では、現状どういった取り組みがされているのだろう。

バスルームでデジタルを取り込む

アメリカのKohler社はバスルームとキッチン用のスマート家具ブランドKohler Konnectを立ち上げた。現在、シャワー、湯船、2種類のトイレ、ミラーとキッチンシンクからなっている。Alexaにも対応しており、音声指令で設定されたタスクを実行するという。

ミラーやシャワーについては、音声指令でその照明を調整したり、湯量を調整したりすることができる。また、Alexaの一般的なスキルにもアクセス可能だ。同社の独自「PerfectFill」という湯船用の技術を使うことで、音声を使って温度などを設定し、湯船に水を入れることができる。

また、「スマートヘルスと美」を掲げるスタートアップ「CareoS」は、バスルームの機器を繋ぐ、オープンプラットホームをリリース。コネクテッドバスルーム機器を繋ぐハブはさらにAI、AR、顔認識などに対応するという。

CareOS によると、デザインの段階ででプライバシーを考慮し、すべてのバスルーム機器はプライベートネットワークに繋がっており、ローカルでデータを保存している。CareoSボックスとコネクテッドミラーは、2018年の秋から発売するということだ。

さらに、米Moen社は去年U by Moenスマートシャワーシステムを発売し、今年からAlexa とSiri音声指令機能も追加すると発表している。好きな水温を音声で指摘し、シャワーを浴びることができる。

しかし、システム制御は、制御パネルからもできるため、Alexaスキルは補足的に使われている。また、シャワーでの水音はAlexaの自然言語認識機能の効率性を低くする可能性もあるといわれている。

このシステムは、正確な水温コントロールを実現するデジタルバルブ、シャワーヘッドやシャワー備品などからなっている。現在のところで、安全対策として設定可能な水温は15°から48°Cまでという制限がある。プリセット機能として、「朝のシャワー」や「ジム後のシャワー」という設定が可能だ。

スマートミラーの可能性

すでにいくつかの企業がスマートミラーを開発しており、すでに購入ができるものとして、「HiMIrror」がある(米国で189ドルだが、日本で4万円ほどの値段が付いている)。

ミラーに組み込まれたカメラで、毎日素顔の写真を撮り、顔色を分析し、肌の変化を管理することができる。肌の状態に合わせて、スキンケアに関するアドバイスや正しいスキンケアのやり方をチュートリアル動画で教えるなどが可能だ。

ミラーの操作は、モーションコントローラーと枠にある物理的なボタンを使って行う。また、音声による制御が可能だが、現時点で同機能はかなり限られている。セキュリティを考慮し、ミラーのシステムはユーザーの顔を認識できないかぎり、OSを稼働しないという仕組みになっている。また、プライバシーを心配する人には、停止することができる。

パナソニックも、インタラクティブなミラーの開発に取り組んでいる。「スノービューティーミラー」はユーザーの顔をスキャンし、メイクが必要な部分を検出し、メイクシミュレーションを表示する。

シミュレーションに基づき、ミラーと連携するメイクアップ・プリンターがファンデ―ションやコンシーラーが塗ったシミ隠しシートを印刷する。そのシートを顔に当てるだけで、メイクアップが完成だという。

ミラーにはメイク機能だけでなく、肌状態の分析機能も含まれている。鏡の前に座るだけで、しわや隠れシミを確認できる。

現時点でパナソニックは同ミラーのB2B マーケティングを始めているが、将来に個人顧客にも展開する予定としている。

ここで、スマートミラーやバスルームでのデジタル技術を取り込むことの必然性は、ミラーの前に長時間滞在する美意識の高い人に対して、どんなサービスができるか、という点になる。

つまり、これまで当たり前のようにやってきたミラーの前で行われる作業、バスルームで行われる作業を、デジタル技術を使って自動化したり、改善したりすることがポイントになる。面倒に感じていたことが楽になり、カメラの美顔効果のようなことがリアルの世界でも簡単に実現出来る、そんなことが実現されることが期待されているのだ。

便利だけがとりえじゃない。スマートホームの技術

ところで、スマートホームといえば、便利に、快適に、というキーワードが踊るが、エコシステムを構築することで、他の利用シーンとしても活用が可能だ。

イギリスの「NEOS」というスタートアップは空き巣や水漏れなど、住宅に関するリスクを削減する目的でセンサーや無線通信技術を採用する方針だと発表ている。

つまり、第三者が提供するインターネットにつながるセンサーなどを保険製品の一部として提供し、顧客はアプリ上でこのセンサーを管理できるのだという。

NEOSアプリはセンサーデータに基づいて、問題を起こしそうなイベント(例:入口ドアのロックはかかってない、シンク下の水漏れが検知されたなど)を知らせることによって、損害を軽減できるという考えだ。さらに、修理サービスを提供するプロバイダーをプラットホームに追加し、収益を増やすことを目指している。

家のWifiの改善を目指し、メッシュネットワークとルーターが主役に

みなさんの家庭のWifiは、家の隅々まで届くだろうか。居間にあるWifiルーターのネットワークが、書斎に届かないなどということはよくある。

こういった、家ナカネットワークが届かないということに対して、様々なソリューションが登場している。

米クアルコム社は2017年5月にメッシュネットワーク・プラットホームを発表した。さらに2018年は、スマートホーム製品に対応できるためメッシュネットワーキング・プラットホームの拡大とリファレンス・プラットホームの新しい機能をCESで発表した。

このメッシュネットワークのリファレンス・デザインでは、クアルコムの「Aqsticオーディオ・コーデック」が採用されていて、それによって音声アシスタント統合が可能になり、マイクロソフトのCortanaアシスタントをメッシュプラットホームに統合している。

クアルコム社はさらにメッシュネットワーキング・プラットホームに対応できる製品数を増やしており、これからはスマートスピーカー、煙感知器、セキュリティ・システムやスマート電球などのメッシュ・ネットワークに対応するデバイスを追加する予定なのだという。

この流れは、韓国のサムスン社はConnect HomeとConnect Home Proという家全体をカバーするWiFiシステムにも見られる。このデバイスはWifi死角をなくし、無線ネットワークの有効範囲を改善するメッシュルーターである。

スマートホームハブが取り込まれており、サムスンのスマートホームプラットフォームとなるSmartThingsを使うことで、電球やセキュリティカメラなどのスマート・ホーム機器を管理できるという。

ネットワークをメッシュに作るのとは違い、広域接続を実現しようという考え方もある。サムスンConnect Homeルーターは、一台で140平方メートルをカバーすることから、家全体をカバーする。

ファーウェイもWifi Q2というメッシュルーターを発表している。広い家でも通信を最適化する他、サムスンと同様にスマートホームデバイスをアプリ上で管理する機能も実装されている。

さらに、ファーウェイは、コンセントに挿すだけでネットワークを構成することができる、「パワーライン・ネットワーク」を活用し、イーサネット線の代わりに家内の電気系統でインターネットトラフィックを送信する仕組みを実施。この仕組みによって主なハブから離れても通信カバレッジの悪化を防ぐというのだ。

ファーウェイのよると、このようなネットワークには、192台のスマートデバイスが接続可能だという。

なぜ、ネットワークが隅々まで届く必要があるのだろう。例えば、掃除ロボットが家の隅々まで掃除をしていることをイメージして欲しい。掃除ロボットは、掃除をしながらなんらかのデータをネットワークを介してやり取りをする。

こういった利用シーンを実現する場合、ネットワークが隅々まで届くことが前提となるのだ。

天井にハブ機能を入れ込むという考え方

では、スマートスピーカーのような、多くのスマート家電を操作する、ハブとなるプロダクトは、どこに置くべきなのだろうか。

指示をするだけであれば、どこにあってもよいというところがあるが、そのプロダクトが家ナカ家電を操作するとなると、設置場所はすべてのデバイスにとって見通しがよい場所であるほうがベターだ。

なぜなら、ネットワークによってつながるスマート家電は、当然のことだがネットワークに接続している必要があるからだ。

そこで、Baidu社は天井灯とスマートアシスタント機能を合わせたAladdinスマートプロジェクター開発した。これは、Baiduの日本子会社であるpopInと、スマートプロジェクターメーカーXGIMIの共同開発であり、スペースが少ない部屋での最適化を目指しているというのだが、天井にある必然性としてプロジェクターの機能を担わせたところがおもしろい。

単純に、音声で操作ができるというだけの価値では、手動操作でよいとなってしまう。機能として、設置場所としての必然性を追うことが、今後のスマートプロダクトには必要だ。

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