通信モデムと電池の一体化がコンシューマIoTの起爆剤に —CEATEC JAPAN 2018レポート5

今年のCEATEC2018には、新たにIoTのコーナーができ、そこにはLAWSONやLIONなどのコンシューマー向けビジネスを展開する企業が出展していた。これから広がるであろうコンシューマーIoTの商品、サービスがいくつも紹介されており、新しい時代の到来が感じられた。

テクノロジーが身近になり、毎日の生活の中で「できたら良いこと」が叶えられるようになっていくのだが、多くの「できたら良いこと」の共通課題が「通信」と「電力」だ。

IoT時代を前に、通信の選択肢は増え続けている。

今回のCEATECにおいてもLPWA(Low Power Wide Aria)だけでも多くの通信規格に対応したものが展示されていた。CAT-M、NB-IoTはもちろん、LoRaWAN、SIGFOXもあり、選択肢は豊富だ。

さらにWi-Fi、Bluetooth、近距離無線のNFCもあり、サービスを検討する上で通信方式を決めるだけでも悩んでしまうことも多いだろう。

逆に言えば、用途に最適化した通信手段を選ぶことができるため、スマホ上でアプリケーションを提供するのとは大きく異なり、アプリケーションとハードの機能に加え、通信手段も組み込んだ上でビジネス設計ができることも、IoTの面白いところだ。

また、「電力」も課題の一つだ。LTE通信を続けているとスマホでバッテリーが目に見えて消費することからもわかるように、以前に比べれば、様々なテクノロジーで電力消費が効率化されてきたとはいえ、現状のLTE通信は電力消費が多い。

また、いつでも電話が着信できる、LINEのメッセージがすぐに届く、ということからもわかるように、通信をしていない状況であっても、常にスマホは電力を消費して、通信を受ける状態を維持している。

つまり、スマホ向けのLTEをそのままIoTデバイスに採用すると、小型の電池ではすぐに無くなってしまう。

それに対して、「LPWA」はその名の通り省電力(Low Power)であり、さらにデバイスの通信を制限することで、大幅な電力の効率化ができる。またデータ量を減らすようなことで通信そのものを省電力にすることも可能で、わずかな容量の電池でも、用途と設計によって実用に耐えられる。

IoTの可能性を実現レベルに持ちあげる電池の進化

そして、その未来を待ち受けるようにCEATEC2018では様々な電池が展示されていた。

村田製作所では複数のサイズのボタン電池やコイン電池が展示されていて、デバイスの大きさ、必要な容量で選択できるようになっていた。この領域は、これまでの選択肢が豊富だったが、さらに拡張している状況といえる。

個人的に今回のCEATECで最も興味深かったのは、「超小型の全固体電池」で、TDKや太陽誘電のブースにおいて、3辺がミリ単位のものが紹介されていた。

太陽誘電ではサンプルではあるが、約1mm四方のものもあり、小型IoTデバイスにおいては組み込み型電池が一般化する可能性も垣間見えた。

通信モデムと電池が一体化する未来はあるか —CEATEC JAPAN 2018レポート5
太陽誘電の超小型の全固体電池

さらに、TDKでは太陽光充電モジュールとの連携も紹介しており、長期運用が可能な超小型デバイスの登場も期待される。

通信モデムと電池が一体化する未来はあるか —CEATEC JAPAN 2018レポート5
TDKの太陽光充電モジュールとの連携

電池と通信モデルの一体化がブレークスルーポイントとなる

スマホの通信モデムはアプリケーションプロセッサと一体になっているが、IoTデバイスの場合は、電池と一体化した通信モデムがブレイクスルーのポイントになるのかもしれない。

通信手法も電池も多様化することは、あらゆる状況に対応できる反面、コスト面で課題が残っていくことになる。一方、この通信モデムと電池の一体化のためには通信速度だけでなく、実運用における通信の頻度と送受信するデータの容量が事前に把握できなくてはならず、各領域や用途におけるデータのやりとりを標準化する取り組みも求められるだろう。

これから生活環境へテクノロジーを浸透させていくためのアプローチとして、とりあえず初めてみてアジャイルで改善していく方法もあるが、ハードが必須となり、サステナビリティが求められることを考えると、設計がますます重要になる。

そこで、最初に「約束事」を決めて固定スペックで普及させていくことが、改めて見直されるべきではないかと感じた。

何でも自由にできることは、何かを始める上で不自由なことも多い。

通信や電池など、ベースレイヤの選択肢の増加によって、この制限の中であれば安価に短期で実現でき、安定運用も可能、というパッケージが用途別に提供される未来も期待できる。

こういった変化がおきることで、一気コンシューマー向けIoTのマーケットが開けるきっかけになりそうだ。

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