芝浦工業大学、脳波を用いたライブ体験システムを「生体情報で世界をつなげるライブ」の実現へ

芝浦工業大学 情報通信工学科の堀江亮太准教授は、脳波などの生体信号から複数の参加者の精神的な盛り上がりを計測し、度合いに応じてハートマークや桜吹雪などの視覚効果として演出し一体感を世界中で共有できるエンターテイメントシステムを開発した。

ポイント

  1. 参加者の盛り上がりに応じた視覚効果を共有することで実際のライブ会場のような一体感を得られる
  2. 生体信号の反応のみを要するため会場に出向くことができない肢体不自由者や高齢者が能動的に参加できる
  3. ライブに限らず講演会や企業発表会、学校での授業などで参加者の反応を可視化するなどの展開も可能

背景

没入型ヘッドマウントディスプレイの登場により、自宅にいながら没入感のあるライブを視聴することが可能となっている。しかしながら、従来のライブ体験システムでは、受動的視聴が多く演者と複数の観客の相互作用から生じる一体感を得られにくいという問題があった。

そこで、ライブ参加者全員が簡易脳波計を装着し、取得した脳波から全員の集中度を解析。解析結果に基づいた視覚効果をそれぞれのライブ画面に視覚的に再生することで、一体感が感じられるシステムを開発した。場所を選ばずに参加をして一体感を感じることができるため、2020年東京オリンピック開催に伴うライブ会場不足や、ライブ会場のバリアフリー化の遅れの解決も期待されるという。

技術の概要

簡易脳波計で脳波などを測定し、精神的な盛り上がりに伴って増加する脳波のβ/α比が増加し、閾値を超えたときに視覚効果を生成し表示さる。今回、全ユーザそれぞれの視覚効果を画面に現す<クライアント型>と、全ユーザの平均値が閾値を超えたときに視覚効果を現す<サーバ型>を開発した。

実装例として、ユーザ数と同数の簡易脳波計、タブレット端末、没入型ヘッドマウントディスプレイ、クライアントPC、および1台のサーバPCから構成。各ユーザは脳波計と没入型ヘッドマウントディスプレイを装着し、額部と耳部の間で計測された脳波信号をタブレット端末上に送信する。

次に、計測された脳波信号からβ/α比を算出。クライアントPC上のデータ処理プログラムに送信する。<クライアント型>では同データ処理プログラムがβ/α比に対応する視覚生成情報を生成し、サーバPC上に送信する。その後全クライアントPC上に共有し、全ユーザの画面に反映。<サーバ型>の場合はクライアントPC上のデータ処理プログラムではβ/α比の処理はせず、サーバ上のデータ処理プログラムにて平均値を算出する。

今後の課題

今回、6名(3名1組)で実験を行った結果、<クライアント型>では、他のユーザとは効果を共有しない従来のシステム型よりも「一体感」を感じるアンケート評価が上回り、<サーバ型>でもβ/α比の増加のタイミングが揃って効果が生成されたときには一体感や達成感を感じる感想が得られた。

今後、さらなるデータを収集し、視覚効果の共有によるβ/α比の変動分析や統計学的評価、閾値の設定などを行い、ライブ参加の一体感がより得られるシステムに改良を進めるとのこと。

【関連リンク】
芝浦工業大学(Shibaura Institute of Technology)

無料メルマガ会員に登録しませんか?

膨大な記事を効率よくチェック!

IoTNEWSは、毎日10-20本の新着ニュースを公開しております。 また、デジタル社会に必要な視点を養う、DIGITIDEという特集コンテンツも毎日投稿しております。

そこで、週一回配信される、無料のメールマガジン会員になっていただくと、記事一覧やオリジナルコンテンツの情報が取得可能となります。

  • DXに関する最新ニュース
  • 曜日代わりのデジタル社会の潮流を知る『DIGITIDE』
  • 実践を重要視する方に聞く、インタビュー記事
  • 業務改革に必要なDX手法などDXノウハウ

など、多岐にわたるテーマが配信されております。

また、無料メルマガ会員になると、会員限定のコンテンツも読むことができます。

無料メールから、気になるテーマの記事だけをピックアップして読んでいただけます。 ぜひ、無料のメールマガジンを購読して、貴社の取り組みに役立ててください。

無料メルマガ会員登録