深センの自動運転ベンチャーRoadstar.aiが描く中国のロボタクシー事業

企業:

2. 自動運転を中国でやることに意味がある

-世界には、自動運転に取り組む企業は数多くあります。御社の強みは何でしょうか。

: 技術力はもちろんですが、中国で自動運転を展開することに意味があると思っています。AIはたくさんの「異常データ」を学習させないと進化できません。これまでシリコンバレーや深センなどで路上テストを行ってきましたが、やはり中国の方がそういう異例な状況が多いです。

ヒトが道路を横断しますし、逆行もあります。自転車に乗ったフードデリバリーのお兄さんが突然飛び出してくる、といったことが頻繁にあります。中国には自動運転のAIにとって、豊富にデータを取れる環境があるのです。

-なるほど。

: 今後、自動運転に関わるエコシステムは6種類のプレイヤーから構成されると考えています。通信事業者、センサーなどのハードウェアのメーカー、自動運転の技術開発を行う企業、政府、ライドシェア事業者、自動車・部品メーカーです。

その中で中核になるのは、やはり自動運転の技術開発を行う私たちのような企業だと思っています。これまでクルマのコア技術は自動車そのものにありましたから、自動車メーカーが主導権を握っていました。

しかし今後は、自動運転に技術の焦点が移ってきます。すると、センサーは何を使うべきか、どこに配置すべきかということがわかる自動運転の開発者が中核になっていきます。実際に、お客さんと一緒にプロジェクトをやっていると、そう感じます。

-ゆくゆくは、中国以外でもロボタクシーを展開されるのでしょうか。

: 海外ではロボタクシーではなく、「技術輸出」というカタチで、他社さんから要望があれば技術を提供して、一緒にプロジェクトを進めていきたいと考えています。

なぜなら、中国の企業が海外の自動運転に参入するのはかなり難しいことです。法規制や政府との交渉がありますから。中国に関しても、外部から参入することは困難です。

たとえば、L4の自動運転には3Dの高精度地図をつくる必要がありますが、そうした情報は中国では極秘情報で、取得するにはライセンスが必要です。私たちが海外に進出する場合も同じことです。

深センの自動運転ベンチャーRoadstar.aiが描く中国のロボタクシー事業
Roadstar.aiの今後の事業計画

-直近の計画について教えてください。

: 現在すでに国内外の自動車OEMと共同で自動運転用車両を開発しながら、車両の調達を進めています。2019年には自動運転のクルマを200台、2020年には1,500台を投入する予定です。

当社にとって、2019年の取り組みの中心は技術力の向上です。複数台のクルマで路上テストを実施し、データ量を増やしながらアルゴリズムの強化を継続します。

2020年からはさらにクルマを増やし、特定のルート/エリアでお客さんから料金をいただきながらサービス運営の実証実験を進めていく予定です。サービス展開のエリアとしては、深センをはじめ中国の大都市を考えています。人口密度が高く、タクシーの需要も多いからです。

-人通りの多いにぎやかな道路で試験するのですね。

: はい。選ぶとしたら、繁華街などのにぎやかな場所を選びたいです。

-そういう場所で試験できるのがすごいです。

: そうですね。プロモーションの意図もありますが。

先日、Googleの子会社であるWaymoが、年内にアメリカの一般顧客に対して有料のロボタクシーサービスを提供すると発表しました。後発の当社はその技術力とスピード感に感心しながらも、中国発のロボタクシー事業の展開を日々進めています。

また、年内には当社のセンサーやシステムを搭載した自動運転のクルマをつくり、上海の試験区域内で走らせる予定です。その際は、配線などが露出しないように、クルマそのものを改造して、お客さんが実際に乗りたくなるようなクルマをつくります。

-車体の上でLiDARがくるくる回るのが自動運転のクルマの特徴ですが、それもいつかは露出しなくなるのですか?

: そうです。このようなセンサー内臓型のクルマを「ソリッドステートLiDAR(SSL)車体融合」型といいます。複数のLiDARを車体に作りこみ、それぞれが決まった方向にレーザービームを照射するしくみです。

そうしたしくみを使うことで、コスト削減や軽量化などのメリットが得られます。このSSLを、クルマを生産する段階で搭載する方法が2019年前半以降、実用化され、主流になっていくと思います。

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