救急搬送中において5Gの活用が注目されている。5Gは高精細映像での情報共有を可能にする。それによって搬送時間を有効活用し、適切な処置を行うまでの時間を短縮することで、救命率の向上が期待できる。
NECは、株式会社NTTドコモ・前橋市・ICTまちづくり共通プラットフォーム推進機構・前橋赤十字病院・前橋市消防局・前橋工科大学が実施した5Gを活用した救急搬送高度化ソリューションの実証試験において、28GHz帯5G基地局および5G移動局で構成された無線環境を構築した。
同試験は、NTTドコモを実施主体として2月15日に前橋市役所周辺で実施された。
今回、前橋市消防局と前橋赤十字病院が中心となり作成した試験シナリオは、5Gを活用した動画配信と前橋工科大学が開発した現時点においては4Gを活用する救急搬送支援システム(かかりつけ医、緊急連絡先、既往歴、現病歴、投薬情報等の患者情報を取得するシステム)を連携させて、交通事故に遭った患者の救急搬送を行うことを想定したものだ。
NECは同シナリオに基づき救急指定病院に見立てた前橋市役所12階に5G基地局、救急車・ドクターカーにそれぞれ5G移動局を設置し、5Gを用いた高速・大容量の通信路を構築した。
具体的には、救急車が患者を搬送してドクターカーとのドッキングポイントに急行する間、まず、救急搬送支援システムから得られた患者情報を、4Gを介してドクターカー・救急指定病院に伝送し、患者情報を共有。次いで、患者の映像や血圧・心拍数のグラフなどの診断用の高精細映像をパッキングした4K映像を、5Gを介してドクターカー・救急指定病院に伝送し、ドクターカーの救急救命医・救急指定病院の医師とリアルタイムに共有した。
これにより、ドクターカー・救急指定病院の医師からの指示に基づいた適切な処置を搬送中に施すことが期待される。
NECが今回提供した28GHz帯5G基地局は、同試験において700MHzの帯域幅を使用し、下り伝送速度740Mbps、上り伝送速度240Mbpsを実現。これにより、同試験のように複数の高精細映像を複数の移動局から同時に伝送することが可能になる。
さらに、5G基地局と5G移動局の両方に搭載したビームフォーミング機能およびビーム追従機能により、移動環境においても安定した5G通信も実現した。
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