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中国メーカーの力強さと、ジャパンブランド復活への気づき -香港エレクトロニクスフェアー2019レポート

先週香港で行われた、香港エレクトロニクスフェア。この展示会は、香港企業だけでなく、大陸、つまり中国本土の企業も参加する展示会となっている。

世界の様々なエレクトロニクスショーにおいて、5年前の中国企業では部品の展示が多かったという印象があった。エレクトロニクスの中心が家電からパソコンにうつり、スマートフォンが世界中で愛用されるという流れの中で、中国企業は「部品のサプライヤー」であった。

しかし、今回の展示会では、広大な展示会場に様々な「完成品」が展示されていたのだ。

もともと世界中のOEM製品を作っていたのだと思われるが、そうこうしているうちに品質も向上し、結果メーカーになっている企業も多い。

下の、電動歯ブラシや、水だけで植物を栽培するキットなど、日本でもおなじみのモノだが、見た感じの完成度も高い。

そして、今回の展示会でのもう一つの特徴が、「同じプロダクトを複数の(かなり多い)企業が展示をしていた」ということだ。

例えば、電動歯ブラシ一つとっても、何社も電動歯ブラシを展示しているといった具合だ。

この多くの企業から、勝ち残った企業が近い将来、巨大なメーカーとなることが容易にイメージできる。そして、この巨大なメーカーの商品を消費することができる巨大な市場が存在するということが中国メーカーの強さを引き出す環境だといえる。

香港エレクトリックフェア2019
電動歯ブラシ
香港エレクトリックフェア2019
水だけで植物を栽培するキット

ところで、Wikipediaによると、1979年にソニーが初代ウォークマンを発表したということだが、今回の展示会を見ているとその後、KENWOOD、aiwa、東芝、シャープ、三洋電機、パナソニック、と多くの日本企業が、その類似品を発売し、市場も大いににぎわっていたのを思い出す。

つまり、日本でも同一ジャンルのエレクトロニクス商品を複数の企業が作り、しのぎを削っていた時代があったということだ。

これは携帯音楽プレーヤーの分野だけではない。冷蔵庫も、電子レンジも、掃除機も、洗濯機も、電話・FAXも、様々なエレクトロニクス製品において、国内企業がこの狭い国土で競い合い、海外にも進出。ジャパンブランドとして確立されていったという歴史があるのだ。

今回の展示会を見て私は、そのころの日本を思い出さずにはいられなかった。

香港エレクトリックフェア2019
ヘッドフォン
香港エレクトリックフェア2019
カーナビゲーションシステム

ところが、最近日本の製造業は「元気がない」といわれる。その理由は、この頃活躍していた企業が次々統廃合され、外国企業に売却されているからなのだが、実は本質はそこではないと考える。

というのも、ウォークマンができた1979年から見ると、現在の2019年は40年も昔のことだ。エレクトロニクス技術の進化にIT技術が加わっていることを考えると、新陳代謝が起きること自体は全く不思議なことではないといえる。

そういう視点で見ると、本当に問題なのは、部品メーカーが完成品メーカーにシフトして「いない」ことではないだろうか。

長らく大手企業のヒエラルキーの中、発注された部品を作りさえすればよかった。モノづくり企業にとっては苦手な分野ともなりがちな、「マーケティング」や「セールスは」、ヒエラルキーのトップとなる大手企業が代わりにやってくれていた。

さらに、成長産業を支えてきた部品メーカーにとってみれば、40年の年月が経営者を高齢化させ、「自分が主役(完成品メーカー)になるぞ」というエネルギーすら生まれずらい状態になっているといえる。

香港エレクトリックフェア2019
スマートウォッチ

この手の話をすると、「メーカーになどならなくても、匠の技術が日本にはあって、それをいかに継承するかが大事だ。」という議論がでがちだ。大いなる裏方になればよいという発想なのかもしれない。

もちろん、そういう裏方となる、優れた技術を持つ企業が今後も必要になるということは言える。しかし、いくら技術が優れていても、それを駆使するシーンがなければ、宝の持ち腐れとなる。

部品メーカーからすると巨大すぎる既存市場の一部をとるだけでも、旨味は大きい。しかも、ECの活用、パートナーシップなど、海外の展示会に出展して仲間づくりを行うことで、グローバル市場への展開が以前と比べるとかなり容易になっている。なにも国内市場だけを見なくてもよい環境が整ってきているのだ。

日本に本当に素晴らしい技術力があるというなら、若い世代がその優れた技術力を駆使して完成品メーカーになることに情熱を注ぐチャンスを与えることで、日本のメーカーは変わっていくのではないだろうか。

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