NECとNICTが適応ネットワーク制御技術のフィールド実験を実施、自動運転でリアルタイムな周辺情報を共有

昨今、IoTの普及に伴い、リアルタイムな通信を活用する自動車の自動運転、工場や倉庫における搬送車の自動運行、検査や宅配のためのドローンの自動運行などのサービスの実現が期待されている。これらのサービスでは、モバイルネットワークを活用して、位置情報やカメラ画像などの周辺情報をリアルタイムに共有することで、衝突を回避し、より安全な自動運行を実現する必要がある。

しかし、既存のモバイルネットワークでは、各無線基地局に接続する端末の数が増えるほど端末一台あたりの通信遅延は増加し、通信遅延に影響のある無線品質は端末ごとに異なり刻々と変動するため、例えば自動車が多数集まる交通量の多い交差点などの場所で安定的に通信遅延を抑制することは困難であった。

そこで、日本電気株式会社(以下、NEC)は、国立研究開発法人情報通信研究機構(以下、NICT)と連携し、「適応ネットワーク制御技術」を活用して、自動運転でリアルタイムな周辺情報を共有するためのフィールド実験を本年3月に実施した。

同実験では、横須賀リサーチパーク内に通信モジュールを搭載した車両を走行させ、交差点で多数の車両が基地局と接続して通信を行う混雑した状況下で実施された。5Gの商用化を見据え、適応ネットワーク制御技術を搭載したNECのMECサーバおよび、NICTの5G基地局(※1)を活用した。実験の構成機器および各機器の機能は、以下の通り。

  • 通信モジュール
    車両に搭載し、車両の位置情報を定期的に送信
  • 適応ネットワーク制御技術を搭載したMECサーバ
    通信モジュールから受信した各車両の位置情報を収集・分析し、危険度を判断、接近車両へ注意喚起情報を送信。さらに「Context-aware Service Controller(※2)」を活用し、危険度の高いエリアに無線リソースを優先的に割り当てるための制御情報(許容遅延時間)を基地局へ送信
  • 基地局
    MECサーバから受信した制御情報(許容遅延時間)を基に車両の位置によって無線リソースを動的に割り当て

NECとNICTが適応ネットワーク制御技術のフィールド実験を実施、自動運転でリアルタイムな周辺情報を共有

同実験の結果、混雑した通信環境下においても、車両に対し通信遅延を抑制した上で、車両同士で遅延時間が100ミリ秒以内となるリアルタイムな注意喚起情報を共有できることが確認された。これにより、混雑した通信環境でも、安全運転支援において安定的かつ信頼性の高いサービスを提供することが可能となる。

NECは同技術について、自動車の安全運転支援に加え、今後、工場や倉庫における自動搬送車、警備ロボット、災害時の調査ロボット、検査や宅配のためのドローンの自動運行など様々な領域の社会システムへの応用を目指す。

なお、同実験には、総務省の委託研究「電波資源拡大のための研究開発~多数デバイスを収容する携帯電話網に関する高効率通信方式の研究開発~」の成果が含まれている。

※1 5G要件のうち、多数接続性と低遅延性を満たす無線アクセス技術(STABLE)を実装した基地局。
※2 多様化するIoTのサービス特性やトラフィック状況に応じて、ネットワークを動的に最適化するソリューション。

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