医療スタッフ不足・医療施設へのアクセス減少を解決するCOMARCHのIoHTソリューション ―Interrop Japan 2019レポート

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消費者、医療機関、企業がネットワークでつながり、診断、病状改善、健康促進などを行う「IoHT(Internet of Health Things)」。

高齢化が進む一方、医療施設および医療従事者が不足する日本においては、患者の生体シグナルをリアルタイムで確認できる遠隔ヘルスケア・モニタリングといった、遠隔医療の分野での活用が注目されている。

2019年6月12日~14日に千葉・幕張メッセで開催された「Interrop Japan 2019」内において、「ヘルスケアのIoT (IoHT)― 医療・ヘルスケアの現場に特化したIoTソリューションの新提案」と題されたセミナーが開催された。

このセミナーでは、ポーランドの企業であるCOMARCHが取り組んでいるIoHTソリューションが紹介された。今回はIoHTの具体的事例に絞ってセミナーの模様を伝える。

自前の病院でIoHTをテストするCOMARCH

COMARCHはポーランドのクラクフに本社を持ち、通信事業事業者向けのソリューションやIoHTソリューションを展開する会社である。

セミナーではまず、COMARCHのビジネス・ディベロップメント・マネージャーであるLukasz Zezulak氏よりCOMARCHについての概要説明があった。

グローバルな医療問題を解決するCOMARCHのIoHTソリューション ―Interrop Japan 2019レポート
COMARCHの持つ医療施設

その中で特徴的だと感じたのが、COMARCHが自前で小さな病院を経営しているということ。COMARCHはこの病院で開発したIoHTソリューションのテストを行っているという。

医療スタッフの不足、医療施設へのアクセスの減少

会社概要の説明の後、COMARCHのヘルスケア・コンサルティング部門の責任者であるKazimierz Cieciak氏より同社のIoHTソリューションの具体的取り組みについて説明があった。

COMARCHがIoHTソリューションの開発に着手し始めたのは10年ほど前のことだという。Kazimierz Cieciak氏は具体例を紹介する前に、まず同社がIoHTソリューションを始めた背景について語った。

Kazimierz Cieciak氏は有能な医療スタッフの不足、医療施設へのアクセスの減少が現在、全世界共通の問題として浮上をしていることを指摘し、「このような医療におけるスタッフ不足・アクセス減少の問題を解決するために、遠隔医療などのIoHTソリューションが必要とされている」と説明した。

心電図信号をベストで検知、AIで解析

では実際、COMARCHはどのようなIoHTソリューションを提供しているのか。今回のセミナーでKazimierz Cieciak氏が紹介した具体例の1つは、心電図信号をセンシングするベスト(トップ画像)を利用した診断である。

これはベストを着用した患者の心電図信号をセンサーで感知し、クラウドに送られたデータをもとにAIが解析を行うというものだ。解析の結果、異状が確認された場合のみ医師に伝達されるしくみになっているという。

このベストについて解説した際、Kazimierz Cieciak氏はCOMARCHのIoHTソリューションにおける他企業との差異についても語った。

1つは、「IoT PLANT」という自前の工場を持ち、ソフトウェアだけでなくベストのようなIoTデバイスも自社で開発できるという点だという。

グローバルな医療問題を解決するCOMARCHのIoHTソリューション ―Interrop Japan 2019レポート
COMARCHは自前でハードウェア開発も行う

もう1つはセミナー冒頭でビジネス・ディベロップメント・マネジャーのLukasz Zezulak氏が語ったように、自前のクリニックを持ちIoHTソリューションの開発に活用していること。

同社はクリニックだけでなく、デバイスを付けた患者の健康状態をモニタリングする遠隔医療センターも設立しているという。

E-ケアバンドで人命を救った事例も

ベストのほかにKazimierz Cieciak氏が解説したIoHT事例は、E-ケアバンドを利用したテレケア(遠隔治療)ソリューションである。

グローバルな医療問題を解決するCOMARCHのIoHTソリューション ―Interrop Japan 2019レポート
E-ケアバンドを紹介するCOMARCH・ Cieciak氏

E-ケアバンドは、COMARCHが開発したヘルスケアバンドのこと。主に独居の患者や高齢の患者を対象に、位置情報やバイタル情報を収集し、自社あるいは他社の遠隔操作医療センターを通してモニタリングするという。

このテレケア(遠隔治療)ソリューションでは、E-ケアバンドのみならず、ガスセンサーやモーション検知器など、患者の住居内に取り付けられた他のセンサーと連動し、転倒検知といった患者の状態をより詳細に把握することが出来るという。

Kazimierz Cieciak氏は「COMARCHは自治体と協力して、ポーランドの一部地方にE-ケアバンドを配布した。実際にこのケアバンドによって患者が命を救われた例も出ている。」と語り、IoHTソリューションについての説明を締めくくった。

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