NECと仙台白百合女子大学、大分県のKDBデータを活用して糖尿病性腎症の発症影響因子をAIで分析

大分県では、1人当たり医療費が全国的に高い水準にあり、県民の健康寿命延伸と健康増進が重要な課題となっている。とりわけ県医療費の約3割を占める生活習慣病、中でも人工透析の約4割を占める糖尿病性腎症の早期発見・支援、重症化の予防が急務となっている。

そこで、大分県は2018年度、日本電気株式会社(以下、NEC)との保健事業の共同研究の実績を持つ仙台白百合女子大学に委託し、「産・官・学連携保健・医療・介護保険等データ活用による医療費分析事業」を実施した。同事業の一環で、仙台白百合女子大学・鈴木寿則准教授のレセプトや健診データの分析に係わる知見と、NECのAI技術群「NEC the WISE」の1つである「異種混合学習技術」を活用し、2型糖尿病患者の重症化につながる因子分析を行った。

具体的には、人工透析により多額の医療費や定期的・継続的な通院が必要となる糖尿病性腎症について、大分県の3年分の国保データベース(以下、KDB※)から抽出されたデータを基に、AIによる発症影響因子の分析を行った。

複数の市町村にまたがるKDBを活用し、健診データと医療レセプトデータを連結した分析はこれまで困難なものとされていたが、2018年度から保険者となった大分県の主導により県内の17市町村からKDBデータが提供され、NECと仙台白百合女子大学が共同で分析した。

大分県内の2型糖尿病に罹患し、かつ糖尿病性腎症を発症していない約3000人を対象に、KDBの健診データ、医療レセプトデータを連結し、AIが分析した結果、年齢やBMI、血圧などの62の因子から、糖尿病性腎症の新規発症に関連ある因子として、HbA1cや血清クレアチニンなど10の因子を絞り込んだ。これらの因子について、新規発症者と非発症者との間での有意差を確認したところ、新規発症者には有意な傾向が認められた。

AIが絞り込んだHbA1cや血清クレアチニン等の10の因子は、糖尿病性腎症の発症・進展を抑制するための指標としてこれまで用いられてきたものである。同実証を通じて、AIが既存の知見と整合性のある因子を見つけられたことになる。

大分県では、この因子に基づき対象者を絞り込んで、各保険者の効果的な個別指導につなげ、保健指導の高度化と医療費の適正化を図る。NECは、仙台白百合女子大学と連携し、引き続き保健・医療・介護分野におけるデータ利活用を進め、自治体における健康増進と医療の効率的な提供を推進するとした。

※ 「特定健診・特定保健指導」「医療(後期高齢者医療含む)」「介護保険」等の情報を活用し、保険者の効率的かつ効果的な保健事業の実施を支援するシステム。

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