NICT、Wi-SUNとWi-Fiを融合活用したデータの地産地消技術を開発

少子高齢化と過疎が進む地域では、スマートフォン等によるインターネットアクセス手段を活用しない高齢者世帯の効率的な見守り体制の維持が社会的な課題となっている。各自治体にある社会福祉協議会や地域ごとに任意で組織化される地区社会福祉協議会は、必要に応じた生活支援を行っているが、ICTを活用した業務や活動の効率化が一層強く求められている。

このような背景の下、国立研究開発法人情報通信研究機構(以下、NICT)は、社会福祉法人黒部市社会福祉協議会及び株式会社日新システムズと、富山県黒部市内の地域福祉分野におけるICT利活用の研究及び見守り体制「くろべネット事業」におけるICT利活用に関して、三者協定を2019年4月に締結した。

NICTソーシャルICTシステム研究室では、免許不要のIoT向け国際無線標準規格Wi-SUNとWi-Fiを融合的に活用し、地域のデータを地域で消費するデータの地産地消無線ネットワーク構築技術を開発した。同ネットワーク構築技術を用いた地域見守り実証と電子回覧板実証を、黒部市在住の高齢者世帯を対象に10月から3か月間程度を目途に合同で実施する。

同実証実験では、新たに開発した小型のすれ違いIoT無線ルータを宅内や地域の業務用車両に設置することで、携帯電話ネットワークやクラウドに頼らない地域情報の収集・配信・共有基盤を簡単に構築できる。

同ネットワーク構築技術を構成するIoT無線ルータは、電気・ガス等のスマートメーター用途として既に国内数千万世帯の規模まで導入が進んでいるIoT向け国際無線標準規格Wi-SUNを活用したすれ違い通信機能を搭載しており、ほかの複数のIoT無線ルータが互いに電波が届く範囲(見通し外でも数百メートル程度)に接近した場合に、地域情報を自動的に共有する機能を持つ。

NICTが中心となって推進する、くろべネット地域見守り実証では、このIoT無線ルータに加え、玄関ドアの開閉頻度が極度に低下している状況を検知して家屋外にビーコンを発信する「つぶやきセンサ」を見守り対象世帯に設置し、付近を走行する業務用車両が普段の仕事をしながら外出頻度の低下世帯に気付くことができ、効率的な地域の見守り体制構築につながるかを検証する。

なお、小型すれ違いIoT無線ルータは、Wi-SUNと併せてWi-Fiも活用した高速な自動情報配信・共有機能も備えている。実証実験では、まず、電波が比較的広範に届くWi-SUNを活用したすれ違い通信機能で、周辺を走行中の車両に普段の仕事をしながら電子回覧板の配信を希望する世帯の拠点に気付いてもらい、次に、その情報に基づいてWi-Fi通信が可能な範囲まで近づくことで、社会福祉協議会からの電子回覧板を効率的に配信できるかを検証する。

開発したデータの地産地消ネットワーク構築技術は、スマートメーター基盤として全国に普及する無線標準規格Wi-SUNを活用していることから、今後更にデバイスの低コスト化が期待できるほか、世帯ごとに必ず設置されるスマートメーター機器を介して家屋内外の見守り情報等を、確実・低コストに収集するためのハブになることが期待されている。

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