遠距離通信を低消費電力で実現するLPWAとは

昨今、IoTの本格的な普及にともなって、数キロから数十キロにわたって通信をし、遠くのモノやヒトの情報を取得したいというニーズが登場している。

このようなニーズを満たす際に、候補に上がる通信方式がLPWAだ。

LPWAは「Low Power Wide Area」の略称で、一般的に遠距離・低消費電力・低コストな通信方式と説明される。

しかし、遠距離・低消費電力・低コストであるという特徴を箇条書き的に言われても、3要素のつながりがわかりづらく、なぜそうなっているのかが理解しづらい。

遠距離通信したい結果、低消費電力・低コストになる

潤沢な電源や市街地にあるような通信基地局さえあれば、たとえ山奥であったとしても大容量通信は可能になる。

しかし、実際は「山奥の鉄橋の状況を見たい」「広大な農地の状態を監視したい」といったシーンにおいては電源工事や通信基地局を敷設すること自体が割に合わないケースもある。

そういったシーンにおいては、バッテリー駆動する通信を実現する必要があり、バッテリーを長持ちさせるためには、低消費電力である必要がある。

さらに、低消費電力での通信では、容量の大きいデータを取り扱うことはできず、小さいデータを扱うことになる。

もしLPWAとは何かを説明するのであれば「数キロから数十キロの遠距離にわたる距離で、小さい通信を行いたいときに採用する通信方式」というと分かりやすい。

アンライセンス系とライセンス系

LPWAといっても、多様な規格がある。大きくアンライセンス系とライセンス系とに大別される。

アンライセンス系のLPWAは総務省の免許を受ける必要がないが、ライセンス系のLPWAは免許を受ける必要がある。

アンライセンス系のLPWA規格はSigfox、LoRaWANがある。これは免許不要の周波数帯で用いた規格で、数キロから十数キロの通信が可能だ。上りで0.1kbps~0.25kbpsほどの速度で通信が可能だ。

ライセンス系のLPWA規格は、LTE-M(eMTC)やNB-IoTがある。これは既存の携帯電話の帯域、通称セルラー通信を用いる規格だ。十数キロの通信が可能で、通信速度も上りで1000kbpsほどでる。かなり高機能だが、アンライセンス系と比較するとコストが高い。

ユースケース

ではLPWAを使ってどのようなことができるのだろうか。

基本的にはLPWAは動くモノやヒト、動かないモノやヒトの状態を監視するソリューションが多い。

動くモノ・ヒトを監視するソリューションとしては、老人宅への介護訪問用ソリューションがある。これは老人宅にスマートカードリーダーが設置されていて、介護者が訪問した際に打刻するというものだ。スマートカードリーダーには温度センサーが内蔵されているため、酷暑・厳寒といった場合に家族へアラームを送ることができる。なお、バッテリーは2年駆動する。

動かないモノ・ヒトを監視するソリューションとしては、水道メーターソリューションがある。これは遠隔から水道の検針データを取得できるというもの。このソリューションを導入すると、検針が効率化されるというメリットに加えて、使用量が急激に減ったら水不使用警報が通知されるなど、ヒトの見守りも可能になる。また、漏水している配管を発見でき、早期に修理できるメリットもある。なお、バッテリーは10年稼働する。

用途によって使い分ける通信方式~次世代移動通信5GとLPWA~

次世代の通信方式として5Gに注目が集まっている。注目が集まる理由は、5Gは4Gの10倍の速度での通信を可能としているため、映画や音楽といったコンテンツがストレスフリーに楽しめるだけでなく、遠隔医療や自動運転への応用も期待されているからだ。

たしかに5Gの超高速・低遅延は魅力的であるものの、全てが5Gで通信を行う必要があるだろうか。

たとえば、電気・ガス・水道のメーターを遠隔で自動検針したいと考えたとき、メーターにセンサーを付けてクラウドサーバーに検針データをアップロードする。このアップロードされたデータをリアルタイムに見る必要はあるだろうか。

5Gはタイムラグが命取りになる遠隔医療や自動運転などで、その真価を発揮するといわれている。

つまり、多数地域に点在するメーターの状況を確認するといった遅延が許容できて、広域をカバーするなら、LPWAがよい。仮に5Gを用いた場合だと、かかるコストに対して得られるメリット小さくなってしまうだろう。

5Gが良い、LPWAが良いという議論ではなく、用途にあわせて様々な通信方式を選べるようになったと考えるべきだ。

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