ビューティテック事例3選 ~ロレアル、Amazon、資生堂

美容とテクノロジーを融合した「ビューティテック」という言葉をご存知だろうか。

ここのところ、IoTNEWSにおいても、スマートミラーのニュースを見かけるようになった。また、美顔ローラー「ReFa」でおなじみのMTG社がAIの研究所を昨年にたちあげている。

さて、コスメを買う日本のデパートを見てみよう。ブランドのコスメを試すために土日なら数時間並ぶことは稀ではない。筆者も某ブランドコスメを試すためだけに一時間待ってリップを一本だけ試したという経験があるが、今後頻繁に並んでまで購入したいという意欲がどうしても湧かなかった。

一方中国では、鏡の前で試したいリップやチークといった商品を選べば、自分の顔にその商品を使ってメイクしたように見えるスマートミラーを備えた店舗がある。購入もその鏡の前で済ませることが可能で、商品をもって再び並ぶこともない。

このスマートミラーの良い点は、すぐに試せるという点だけではない。試した化粧を落とす必要がない、という点も非常に大きい。これは、女性なら経験したことがあるかもしれないが、ビジネスシーンで使いたいメイク用品を試すと今日着てきた洋服とメイクがちぐはぐのままとなってしまう。それでは困るので、化粧を服に合うようにメイクを直してもらう必要があるのだが、スマートミラーならば直す必要もない。

それでは、世界と日本ではどのようにデジタルが美容に取り組まれているのだろうか、ビューティテックの事例について3つ紹介したい。

D.O.S.E-ロレアル

ロレアル は、フランスに本部を置く世界最大の化粧品会社だ。化粧品だけに留まらず、ヘアカラー、ヘアケア、スキンケア、日焼け防止、香水といった商品の展開を行っている。そんなロレアルがデジタルをこの自社に取り組んでいこうと動き出したのは2010年で、9年も前からビューティテックを見越したデジタルとの融合にチャレンジし続けてきた。

「D.O.S.E」は店頭で、来客者本人に合う調合の化粧品を提供する提供マシーン。

ロレアルは、ビューティテックでも特に様々なチャレンジを行っているが、今回は、「D.O.S.E」について取り上げたい。

D.O.S.Eは、顧客は専門家とマンツーマンでカウンセリングを受ける。そのカウンセリング結果を入力すると、入力データをもとにカスタマイズされたセラム※1を“D.O.S.E”がその場で製造する仕組みとなっている。また、パッケージに自動で使用期限と再注文用のバーコードも表示されるため、前回と同じ配分のものをすぐに購入することも可能だ。

そのため、「肌に合っていたけれど、お気に入りの製品が廃盤になった」ということもなく、また「年齢や環境で肌の状態が変わってしまった」という場合でも都度ベストな化粧品を手に入れることが可能だ。
※1 肌機能を高める「美容液」のこと

BELEI-Amazon

あのAmazonもこのビューティテックに取り組んでいる。ご存知の通り、Amazonでは多くの品物が取り扱われているが、このAmazonの品物内に化粧品、美容品も多く存在する。その莫大の商品データから、この化粧品「BELEI」は生み出された。

Amazonも美容に取り組み始めた。現在は米のみの展開だが、いずれ日本でも展開はスタートされるかもしれない。

BELEIは、価格帯もほどよく高すぎないスキンケアラインで、ブランド名であるBELEIは「Beauty」と「Believe」からの造語だ。「過剰な付加価値や無駄な飾りを排除した、質実で信頼できるもの」という意味が込められている。

大量の購買データから、生み出されたのは「誰でも気軽につかえる」「ほどよい製品」だ。何種ものヒットセラー化粧品、美容品の購買データを分析することで、もともと化粧品メーカーではないAmazonでもヒットが狙える製品を生み出すことが可能となった。ロレアルが徹底的にカスタマイゼーションを目指した一方で、Amazonはその逆となるマス層のニーズにこたえている。

また、BELEIは美容に関心のある人なら聞いたことのある、「美容成分」、たとえばビタミンC、ヒアルロン酸、レチノールといった成分ベースで商品を検索することが可能になっている。どの成分が何に配合されているかを調べることはあるが、成分ベースで検索しても日本ならサプリメントくらいしか表示されない。

Optune-資生堂

日本では、資生堂がビューティテックに取り組んでいる。ロレアルに非常に近いものだが資生堂は、それをセルフで行うことができる。ロレアルがプロ仕様(スキンケアの専門家などが使用する)ならば、資生堂はユーザーでも気軽に扱うことができるマシーンだ。

資生堂の「Optune」は、簡単に肌にあわせた化粧品カスタマイズが可能なマシーンだ。セルフで完結できるため、手軽にチャレンジできる。

まず、ユーザーはスマートフォンのアプリで自分の肌を撮影し、アプリが肌状態を計測してくれる。この時点では、肌の水分量やキメ、毛穴、皮脂などがわかるようになっている。またここへ、「生理周期」「気分」を自分で入力し、ユーザーの居住地から気温、湿度、紫外線、花粉、PM2.5などの環境データが、アプリによって自動収集される。さらに、アプリに内蔵された睡眠測定機能で肌に悪影響を及ぼす睡眠中の覚醒なども自動で検知・収集される。

それらのデータは、いったんクラウドへアップロードされ、独自のアルゴリズムによって8万通りの抽出パターンの中からその時の状態に最適なスキンケアを分析してくれる。そして、分析結果は自宅のネットワーク接続した専用IoTマシンに送られる。(写真参照)

マシンには5種類のスキンケアカートリッジが準備されており、受信した結果の通りに調合したスキンケアを抽出する。そのため、スキンケアがOptuneだけで完結するので、肌の状態に合わせたスキンケアを選択する手間が省ける。

加えて、スキンケアカートリッジの残量も管理されているため、残量が少なくなったものは無くなる前に自動で配送される。わざわざ、実店舗に買いに行く必要もないというわけだ。

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